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I remember everything 【ボーン・アルティメイタム】 [映画日記<2007年>]

「ボーン・アルティメイタム」を見たよ!

公開し始めたばかり。
ネタバレしてるので、ご注意を!

「ボーン・アイデンティティー」、「ボーン・スプレマシー」に次ぐ第3作目。
しっかり第2作目の「ボーン・スプレマシー」からの続き。
それを踏まえた上で、です。

なんとかモスクワから逃れたジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は、
マリーの兄に、彼女を守りきれなかった事を報告しに行く。
そして、ロンドンの新聞記者がジェイソン・ボーンについて記事にしている事を知ったボーンは、その記者を捜し出す。
同じ頃、CIA本部は、“トレッド・ストーン”計画を受け継いだ“ブラック・ブライアー”計画の秘密が漏洩した事に気づく。
“ブラック・ブライアー”を嗅ぎつけたのは、ロンドンの新聞記者ロス。
時を同じくして、ボーンとCIAが一人の記者にたどり着く。
この記者の情報源は、果たして誰か。
そしてボーンは、ついに自分自身が何者であるのかを、つき止める事ができるのだろうか・・・

なかなかお気に入りだったボーン・シリーズ。
果たしてどんな結末を用意しているのか、楽しみだった。
見てしまえば、なんて事ない、それほど突拍子もない事実は出てこなかったのだけど、
それでも、納得の結末。
しかも、ニヤリとさせられる演出には、いや~、もっと見たいと思わせる魅力があったな。

完璧な暗殺者として訓練されたCIAエージェントのジェイソン・ボーンが、任務中の何かが原因で、任務を放棄。
しかも記憶を失って、自分が誰かも分からなくなった時、彼は自らの正体を求める行動に出る。
しかし、そんなボーンを危険視するCIAは、彼を抹殺しようとする。
第1作目から、このゆるぎない設定が、この作品の魅力。
細かいところだと、ジェイソン・ボーンを生み出したのが、CIAの極秘計画である“トレッド・ストーン”。
そして、ボーンの失敗の後、継続して動き出したのが“ブラック・ブライアー”となる訳だ。

オチになるのだけど、
この“トレッド・ストーン”も、“ブラック・ブライアー”も、実は政府の承認を得ていない、CIAの極一部の人間が違法で始めた、暗殺をも含む実験や計画であり、
その被験者、暗殺者となった第1号が、ジェイソン・ボーンなのだね。
彼は、どちらかと言えば、被害者。
最後まで、やはり彼はいい人なんだぁ、というところに、ひねりはなかったけど、
国の為に命を捧げる覚悟をした軍人が、“トレッド・ストーン”計画に組み込まれ、
本人の認識とは違うところで、何やら怪しい実験で洗脳され、
忠実で完璧な暗殺者誕生、となるはずだった。
ところが、ムリな洗脳や実験は、彼の精神を蝕み、任務中の逃亡につながり、
しかも、全てを知っているボーンは、CIAにしてみれば、自分達の首を絞めかねない、危険人物。
そこで、このシリーズの根底にある設定、CIAに追われるジェイソン・ボーンが出来上がるのだね。

このオチ自体は、それほど驚くような事じゃなかった。
多分、まぁ、そんなところだろうなぁ、と、予測内だったと思うよ。
でも、この作品の魅力は、そういう細かい設定が面白いというよりは、
ジェイソン・ボーンという人物の葛藤と苦悩、彼を取り巻く不条理な現実と、それを覆す事ができる彼の行動力が、見ている側を惹きつけて止まないのだと思うな。

基本はアクション映画なので、
ジェイソンボーンの、演じるマット・デイモンのアクションシーンは、素晴しいよ。
彼には申し訳ないけど、
決してイケメンではなく、どちらかというと、近所にいるお兄さん系。
いい身体しているけど、セクシーというより、フレンドリーって感じ。
記憶を失くして苦悩する姿は、そっと慰めてあげたくなる、母性本能を刺激するタイプかな。
でも、一度、敵に遭遇すれば、本能とでもいうべきスピードで、
それこそ、ばったばったとやっつけてしまうこのギャップが、実は堪らないんだな。
フレンドリーでカワイイ顔して、実は、優秀な暗殺者ってところが、心地よくツボなのだよね。
そういうキャラに、またマット・デイモンがぴったり。
怖い顔したゴツイ兄ちゃんが、強ーい暗殺者ってんじゃ、ちっとも面白くないでしょう。
一瞬の切り替わりが、カッコイイを演出してるのよ。

それと、ウソっぽくないアクションが、また魅力的。
最近は、技術があるから、多少危険なシーンでも、合成でなんとかなっちゃう時代だけど、
そういうウソっぽさがない。
ま、身体能力はハンパないけど、
それでも彼ならこのくらいはできるだろうな、という範囲を決して超えないアクションがいい。
マット・デイモンは俳優だから、ある程度でダブルの人が演じているのが分かっても、
それでもダブルの人も人間だから、人間ができない動きは、ない。
そこがいいのよ。
しかも、ちゃんと訓練を受けた人間の体術、それっぽく見える。
それが軍人やCIAエージェントそのままの動きじゃなくても、そういうふうに見えるのだから、それっぽいっていうのが、一番なのよ。
毎度、派手なカー・チェイスも見せてくれるし、
今作は、カー・チェイスはちょっと派手すぎたかな・・・
とはいえ、タンジールでの、町の特徴を活かした逃亡劇は、良かったよ。
ごちゃごちゃとした町並みは、追う側追われる側、どちらにも有利不利があって、いいね。

今作は、前作、前々作から引き続き登場する人物が、いいポイントになっていたと思う。
第1作目のジェイソンとマリーの関係は、またこれか、というベタな関係だったので、ちょっとアレだったのだけど、
第2作目のオープニングで、あっという間にマリーが死んでしまったので、常に女が側にいるのは、ジェイソン・ボーンが活躍するには、やはり邪魔だったのだな、と、斜めな考え方をして、笑ってしまった。
で、第1作目から登場しているニッキーが、また今回関わってきて、ジェイソンの手助けを始めたので、
ま、彼女は、前作でも完全な敵ではなかったから、それでも納得なのだけど、
再度の登場で、しかも、逃亡するのに、髪を黒く染めたり、短く切ったり、マリーの軌跡をたどっているみたいで、ジェイソンと絡んだりしたら、興ざめだろうな、と思ってた。
でも、それ以上にならなかったあたり、ちゃんとわきまえていたんだね。安心したわ。
パメラの登場も、彼女、前作の終わりに、ちょっとジェイソン・ボーンに理解を示して、もしかしたら協力者になれるかも、くらいは想像できたから、順当な成り行きでしょうね。
ジェイソン・ボーンが、ストイックで良かったよ。
あの顔で下半身人間だったら、それこそ興ざめじゃすまないもんね。

シリーズ通して悪役に徹したCIAだけど、
この組織の不条理さも、ジェイソン・ボーンをヒーローにした立役者だろうね。
特に今作は、次から次へと、都合の悪い人間は、アメリカ人であろうとなかろうと、暗殺指令がでまくり。
それを見て反感を覚えるから、ジェイソン・ボーンが活きてくるのだものね。
CIA内部の対立もあって、不条理さに益々磨きがかかって、イヤな組織になってたよ。

ジェイソン・ボーン、過去の罪を悔い、苦悩し影を背負って生きる青年なのだけど、
必要以上に影が濃くならないのは、マット・デイモンの能力だな。
軽く影背負っていても、それ以上深みにハマらないもんね。
だからアクションが、カラッとしてるんだな。きっと。
前へ進んでいくバイタリティというか、行動力は、暗くなりすぎたらダメだものね。
ネガとポジのバランスがいいの。
だから、エンターテイメントしても、面白いのよ。

アクション映画では、もう当たり前になった、手持ちカメラでの映像。
臨場感がでる、とか、スピード感とか迫力の面では、効果的だし、認められているのだけど、
やはり、見にくい。
特にアクションで、動きが激しく、立ち位置がめまぐるしく変わると、本当にどっちがどっちだか、分からなくなる。
こういう手持ちカメラ的な映像を、もう少し見やすく、ステディ・カメラとかで撮影できないものかね。
時にはすごくいいのだけど、時にはイラつく。
服の色が違うとか、髪形がものすごく違うとは、視覚的に特徴的な差があるといいのだけど、全てが上手くいく訳じゃないから、そう思っているのは、きっと私だけじゃないと思うんだけどなぁ。

どこまでが愛国心か、エゴはどこからか、国家単位での暗殺は、果たして許されるのか、
CIAという組織は、ホントにネタが尽きないね。
しょっちゅう映画やドラマのネタになる訳だ。
実際に存在する組織だから、真剣に考え始めると、ちょっと怖い。
しかも、技術的にも、怖いと思う事がたくさんあった。
町の防犯カメラの映像を全て押えていて、特定の人物をずっと追えたり、
固定電話、携帯電話の盗聴も楽々、
あるキーワードを電話回線で使うと、チェックされた上に、身柄の拘束までされてしまうのだから、
どこまでが現実で、どこからがフィクションだか、分からんわ。
暗殺もだけど、拉致班って、なんかすごい。
日本と違い、アメリカはそういうとこ、厳しいんだろうし。
日本は、警察もSATも、優しいもんね。ニュースや映像で見る限りは。
ジェームズ・ボンドや、ジェイソン・ボーンが生まれるのには、やはり国の特性が大きな要因なのだよね。
納得。

ちなみに、ジェイソン・ボーンの本名は、デイヴィッド・ウェッブ。
それが判明した時にはそれほど感動はなかったけど、
今作、終盤で、パメラが何気に彼の事をデイヴィッドって呼んだ瞬間が、1度だけあって、その時ちょっとうわって思った。
さらっと流れちゃう何気ないシーンだったのだけど、妙に印象に残ったシーンだった。
ああ、デイヴッドなんだなぁ、なんて思ってね。

ボーンシリーズ、3作とも、面白かったよ。
話を広げすぎて自滅なんて作品もあるけれど、
これはそうはならなくて、良かった。
世界中を飛び回り、敵はCIAだし、エラくけったいな話ではあるのだけど、
行き着くところは、ジェイソン・ボーン一人というところが、良かったのだろうね。
あっ、原作があるんだったっけか。これ。
ともかく、面白い作品なので、特にアクション好きな人には、是非見て欲しい。
もちろん、そうじゃない人もね。
それには、第1作目から順番に見ていかないとダメだわね。
完全につながっているし、登場人物もかぶっているし、ジェイソン・ボーンの心には、マリー一人のようだし。
何より、彼がラストで生き延びてくれて良かったよ。
もう一回見てもいいな。
機会があれば、行こうかな。


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うつぼ

こんばんは!
私も昨日観ましたよ!でもアクションものが苦手なので記事にできるかどうか。1は飛行機の小さい画面で見ただけだし、2は観てないのに、ナゼそれで3を観たのか自分でもよく分からないのですが。(笑)
マット・デイモンの顔は苦手ですが、役者としての誠実さのようなものが感じられてこの作品も好感持ちましたよ。1と2をおさらいして、もう1度観たいでつ。。
by うつぼ (2007-11-11 18:36) 

LICCAさんこんばんは!
私は先週バイオハザードⅢを見ました。その感想を書こうと思って
いたのですが、仕事が忙しくてなかなか書けないうちに1週間が
たってしまい、いまや内容を思い出すのも困難な状況です(笑)

このボーンシリーズも3部作ですよね。1も見たことが無いので
この機会に1から見たいところですが、ところで何で映画とかって
3部作が多いんでしょうか?バックトゥーザフューチャーもSWも
そうですよね、むむむ…
by (2007-11-11 18:45) 

Catcat44

うつぼさん、こんばんわ!
アクション好きとしては、あのスピード感がたまらないので、苦手な方には酷かもしれませんね。少しでも楽しめたのなら、いいのですが。
マット・デイモン苦手ですか~。あのいたずらっ子みたいな童顔と、役柄上のギャップが楽しい今作なのですが、オーシャンズはヘタレ役ですし、いろいろ出来るのが魅力でしょうか。いじられキャラの方が似合っている気もします(笑)
面白い作品なので、もし機会があれば、3作お楽しみ下さい~。
by Catcat44 (2007-11-11 21:13) 

堀越ヨッシー

テレビで「1」「2」をやってたんで、今オイラの中はすっかりボーンモードです(笑)。ハリウッド界のジミー大西ことマット・ディモンのジェイソン・ボーンは、まさにハマリ役でしたね。一作目を見た時に久しぶりに骨のある(痛みのある)格闘を見させられたな!と感じました。この「アルティメイタム」も劇場で見たいんですけど、今は時間がなくって...またまたレンタル待ちになっちゃうかも...トホホ(泣)。
by 堀越ヨッシー (2007-11-11 21:16) 

Catcat44

アニさん、こんばんわ!
気持ち悪い系が苦手な私は、バイオ・ハザードは見れないですが、そういえば昔、Ⅲにジェンセンがオファーされているって噂がありました。もし出演していたら、見に行っていたでしょうね(苦笑)
確かに、3部作多いですね。ロードもそうですし、おそらくスパイダーマンもですし、パイレーツもですし、なんでしょう、カップラーメンの3分と似ているのでしょうか?
ま、起承転結には、調度いいって事なのでしょう。
ボーン・シリーズは、見るなら順番通りですね。もし機会があれば、是非!
by Catcat44 (2007-11-11 21:17) 

Catcat44

ヨッシーさん、こんばんわ!
容貌に頼らない分(ホントに失礼・・・)、マット・デイモンには役者としての魅力が際立ちます。
2作目で、身体を張った格闘シーンより、カー・チェイスの方が目立ってしまっていたので、今作は体術も再び楽しめるので、それは良かったところです。
ホントに劇場で見て欲しいですけど、ムリはせず、半年待てばレンタルきますから、そしたら是非見て下さい。
心優しき暗殺者、いいフレーズです~♪
by Catcat44 (2007-11-11 21:22) 

Victoria

こんばんは(*´ω`*)はじめまして
私も観てきました。
あまりにもボーンがかっこよくてびっくりしました(笑)

>パメラが何気に彼の事をデイヴィッドって呼んだ瞬間
ありましたねー。
自首してっていったところですね。
私も同じように印象に残りました。
by Victoria (2007-11-16 23:39) 

Catcat44

Victoriaさん、はじめまして!
カッコイイですよね~!
変にエモーショナルになりすぎず、でもボーンの苦悩が伝わってくる、いい感じの演出だったように思います。
結局、彼を本名のディヴィッドって呼んだのは、パメラだけだったと思うのですが、妙に心に残りました。
これで完結になってしまうのが、ちょっともったいないですよね~。
by Catcat44 (2007-11-17 11:29) 

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