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血みどろ大会 【スウィニー・トッド】 [映画日記<2008年>]

「スウィニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」を見たよ!

ラストのオチまでネタバレしているので、ご注意を!

15年ぶりに、ベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)はロンドンに戻ってきた。
彼は、美しい妻とかわいい娘との幸福な日々を、彼の妻の美しさを妬んだターピン判事(アラン・リックマン)によって、ムリヤリ有罪にさせられ、全てを失った彼は、その復讐を果たす為に、戻ってきたのだ。
名を、スウィニー・トッドと変え。
フリート街にある元の家は、ミセス・ラベット(ヘレナ・ボナム=カーター)がロンドン一まずいパイ屋を営んでおり、トッドは再びその2階で、理髪店を始める。
全ては、ターピン判事の首に、使い慣れたカミソリをつき立てる為。
ミセス・ラベットによれは、妻は毒を飲み、美しく成長した娘は、ターピン判事により、幽閉されていた。
一方、スウィニー・トッドと共にロンドンに降り立った水夫は、窓の外を眺める娘に、一目ぼれをする。
その娘とは、幽閉されているスウィニー・トッドの娘であった。
果たしてトッドの復讐の行方は?
水夫はトッドの娘を、無事救い出せるのだろうか・・・

R15指定になっていたのは知っていたのだけど、果たしてどの程度R指定なのか、予告編やCMからはあまり分からなかったのだけど。
これは、大々的にCMして、みんな見てね!と、易々コマーシャルできるような作品じゃ、ないよな。

前半、トッドが復讐を焦り、右往左往しているうちは、まだたいした事はない。
街の有名な理髪師(でもペテン師)と、腕比べをしたり、
例の、ペダルを踏むと、地下へ死体をすべり落とせる散髪用のイスを、改造していたり、
ミセス・ラベットの夢の世界に付き合っていたり、でね。

後半のお祭り状態になると、途端に血みどろになるんだな。

この作品、CMでも知っての通り、ミュージカル仕立て。
とにかく、ほとんどのセリフが、歌。
「ヘアスプレー」とはちょっと種類が違うな。
歌って踊るって感じではなくって、
どちらかというと宝塚みたいっていったらいいのかな。
歌詞がセリフになってて。
それもあって、音楽の音量が、いつもより大きかったと思う。
ちょっとバレイ音楽みいな感じもした。
これ、ミュージカルが苦手な人は、まずムリだろうね。
私ですら、この大音量と、歌だけのセリフが、しつこく感じたから。
分かってはいるのだけど、あぁまたかぁ、と思ってしまった。
感情移入、しずらかったんだと思うよ。

それと、19世紀のロンドンの町並みや、当時の汚さ加減はとても良くできていると思うのだけど、
何せ映像の色を極端に落として、しかもかなり暗い映像は、
特にこのお話は復讐劇で、重たいし暗いから、ちょっと気が滅入ってくるかも。
演じているデョニーはカッコイイよ。
でも、しつこい。
それに、フツーに画面にゴッキーが登場すると、個人的には天敵だから、直視できなくなる。
死体は見れても、ゴッキーはイヤ。

追い打ちをかけるように、
死体の処理に困ったトッドの為に、ミセス・ラベットの提案で、死体をミンチにして、ミートパイにして、お店で売ったら、大繁盛になるんだけど。
あれだけ大勢で、死体を食っているのかと思ったら、
じわじわキた。
食材が向こうからやって来る。
いくらそういう時代のロンドンだからといって、
スロート・カット、地下へゴー、ミンチでミートパイ!
が続くとね。
しかも、地下に落ちる時、頭から真っ逆さまで、カメラアングルも真上から下を見ているから、
脳天直撃で落下するんだ。
これがリピートされると、だんだんエグくなってくる。
相変わらず、みんな陽気に歌歌ってるし。
まぁ、そういう作品なのだけど。

バーカーから娘を奪ったターピン判事。
自分の娘ほどの少女に懸想する中年おやじは、見ていてイヤらしいねぇ。
演じるアラン・リックマンが、年をとったせいか、少し太ったせいかは分からないけど、ちょっとキモかった。

物語中、ちょっと気のフレた中年女性が何度も出てきて、
正直、誰だこいつ?って思ってた。
本当は、もっと早く気づいてしかるべきだったのに、この場合は私がウトかった訳。
だって、ミセス・ラベットが、バーカーの妻は毒を飲んだとは言ったけど、
死んだって言ってないのは、気づいていたんだもん。
最大の悲劇は、
トッドが妻の顔すら忘れるくらい、15年が長かった事。
そしてミセス・ラベットが、遠い昔から、バーカーの事が好きだった事。
バーカーの妻が、死んだ、とウソがつけなかった事。
ウソはついていないけど、この場合、トッドが勘違いしている事は明らかだから、ウソより酷い。
ミセス・ラベットの誤算なのか、トッドの堕落なのか。

邪魔立てする気のフレた女を、勢いでスロート・カットするスウィニー・トッド。
何人も何人も、まるでリズムを刻むようにスロート・カットしているトッドだから、
たかが一人の中年女性を殺すなんて、なんでもない事。
ただ、彼は、自分の妻の顔を、忘れていただけ。
そして、死んだものだと、思い込んでいただけ。
地下の巨大なオーブンの前で、
血みどろで死んでいる女が、かつて心から愛した、自分の妻だと気づくスウィニー・トッド。
女は、トッドの顔を見て、「どこかで会った事が?」って聞いていたじゃないか。
なるほど、こういうオチな訳だね。
ミセス・ラベットを、巨大なオーブンに放り込むドッド。
そして、返り血を浴びたトッドは、血みどろの妻の亡骸を抱きしめる。
彼の後ろには、彼のカミソリを持った、
ミセス・ラベットの店を手伝う少年の姿が。
その少年もまた、ミセス・ラベットに特別な思いを抱き、
彼女をも殺してしまったトッドへ、そっと近づき、ノドにカミソリをあてた。
そして、彼もまた・・・

ラストは血みどろ大会だったね。
罪を犯した人間は、最後の少年以外、みんな死んじゃった。
でも、どうやら、トッドの娘と、彼女を救い出した水夫は、無事のよう。
幸福になれよ~。
なんて思いながら、少々胃のあたりに違和感を感じた余韻だったわ。
ミュージカル仕立ての為に、セリフが素直に耳に入ってこず、
その為に感情移入しずらく、しつこいって感じたんだと思うのだけど、
ピタッとハマらなかったのは、何でだろうね。
曲に魅力を感じづらかったのかな。
あ、でも、曲って、ブロードウェイで上演したミュージカルの時と同じか?
どうだったっけか?
ともかく、いつもより疲れたよ。

本格的に歌が歌えるキャストは、トッドの娘を演じた子だけだったみたい。
あとのキャストは、本格的なのは、初らしい。
そのせいか、この娘を演じた子の声は、素晴しかったよ。
高くてキレイに通ってて。
ジョニーもヘレナも、お初な歌の割りに、とても良い感じ。
さすがはハリウッド俳優だと思う。
でも、明らかに、娘役の子だけは、声質が違ってた。
歌の上手さで有名な俳優も、キャストされてなかったし、これはこれで、いいんじゃないかな。
ちょっと、物足りなさも感じてはいたけどね。

こうやって書いてみると、やはり私はこの作品に、ハマらなかったのか分かるね。
なんでだろう。
鳴り物入りで上映されてて、しかも天下のジョニデだし、監督はティム・バートンだし。
でもその割に、得られるものが少なかったから、かな。
分析するなら、ね。

血みどろ大会が大丈夫な人と、ジョニーファンは、楽しめると思うよ。
それ以外の人は、お気をつけ下さい。
なにせ、血みどろですから。


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コメント 12

mika

RICCAさん、ありがとうございます!
とっても参考になりました。やっぱり、当然のようにティム・バートン節全開なんですね・・すごく評価が高いので気になってたんですけど、
レンタルか放送があるまで待ってもいいかなって決心がつきました。
特に決め手は血みどろよりも私もゴッキーです(笑)
基本的にミュージカルもどちらかというと苦手な方ですし・・
ジョニー・デップに対しても自然な演技の方が好きです。
RICCAさんの解説は的確で分かりやすくてそして面白くて・・
読むのがいつも楽しみです(^v^)
by mika (2008-01-26 00:26) 

Catcat44

mikaさん、こんにちわ~。
ティム・バートン監督の中でも、よりダークなバートン節じゃないでしょうか。
あと、上には書き忘れてますけど、ヘレナ・ボナム=カーターの顔が怖い!(笑)
某新聞の解説にも、見る側を選ぶ作品との言葉がありましたが、まさにその通りじゃないですかね。
スウィニー・トッド自身に、同情しにくかったのも、ありますし・・・

こ~んな文で楽しんで頂けるなら、激嬉しいです!
これからも、感想・解説・解釈、の3Kをモットーに、頑張りますっ!!
by Catcat44 (2008-01-26 17:22) 

maxy494

LICCA様。
私も上記mikaさん同様、参考になりました。
必然的な戦闘シーンならともかく、フツウは血みどろ、大嫌いだし。ティムとヘレナとジョニデなら、私、「チョコレート工場」のほうがいいです。さらにティムなら、「ビッグフィッシュ」のほうが…。ジョニデも、「ショコラ」あたりのナチュラルな感じが、一番スキかも…。

最近、SUPERNATURAL尽くしなのdせ、人んちに来て映画の話してるmaxyです。
ところでLICCAさん、DEANのバースデーは、一月なので、Januaryです。Jun.は、6月…。ごめん。突っ込んで…。
by maxy494 (2008-01-26 17:54) 

mika

ごめんなさ~い!LICCAさんのお返事読みにくるまでお名前の最初をRにしてたなんて全然気付かなくて・・
全くこんなんばっかりで自分でもやんなっちゃいます!
こんなドジな私ですが、どうか許してやって下さいませ<(_ _)>
by mika (2008-01-26 17:54) 

Catcat44

maxyさん、こんばんわ。いらっしゃいませ~。
スプラッタやホラーはものすごく苦手ですが、maxyさん同様、戦闘シーンならある程度の事ならば、全く問題なしです。が、この作品は、思っていた以上に、スウィニー・トッドに感情移入ができなくて、戸惑いました。
それと、カニバリズムは、なかなか克服できませんね・・・

「SUPERNATURAL」は第9話のシーンが2つほどアップされてて、今朝からもうすごい興奮状態です。
でも、その合間を縫って、映画もせっせと見ているLICCAです(笑)
・・・今、Jan直しました。相変わらずツメの甘いところをお見せしてしまって、恥ずかしい。卓上カレンダー見たはずなんですけどね。。。
by Catcat44 (2008-01-26 19:19) 

Catcat44

mikaさん、こんばんわ!
あまり気になさらず(笑)
私もツメが甘いところがあるので、問題ナシですよ。
大昔付き合っていた人に、ツメが甘いから気になる、と言われた事があるくらいで・・・
by Catcat44 (2008-01-26 19:23) 

うつぼ

こんばんは!
私もおととい見たので本日記事アップしました。
(トラックバックさせてくださいね)
私も血みどろにビックリしましたよ。ラヴェットの店の描写にも唸ってしまいましたし。。。血みどろはピレリが最初に殺されるときに「うぇっ」と思ったら次から次へ、、、でしたもんね。物乞いの女については、ミュージカル作品にはおなじみな展開というかなので、私は気づいておりましたが(ふふ)。 決して嫌いな作品ではないのですが、一度観ておくべきながら一度で私は充分ですね。夢に見そうで怖いです。。。
by うつぼ (2008-01-26 22:30) 

Catcat44

うつぼさん、こんばんわ!
私も、思っていたよりエグい描写に、確かにびっくりしました。
元々ブロード・ウェイなのは知っていたので、歌う歌詞の内容が、いかにもミュージカルで、ちょっとオカシかったですね。
あの物乞い女性、今思えば、なんで気づかなかったのか、不思議です。結構分かりやすいですよね?
夢に出そうって、私もちょっと思いました(苦笑)
それと、その日の夕食、ちょっとビビってました。食欲が、どうかと・・・ま、いつも通りでほっとしましたが(苦笑)
by Catcat44 (2008-01-26 22:51) 

堀越ヨッシー

コマーシャルを見た印象だとそんな感じでもないですけど、思ったより“血みどろ”な感じみたいですね。ここ数年は個人的に今いちパッとしなかったティム・バートンですが、久しぶりにバートンのダークサイドが爆発したという事でしょうか?(苦笑)。バートン自身が幸せなのは結構なことですけど、一方で出演女優に手を出すようになってから映画がつまらなくなってきたので、このあたりは痛し痒しですね(^皿^;)。という訳で、いつものようにレンタル待ちって事で!。
by 堀越ヨッシー (2008-01-27 06:27) 

Catcat44

ヨッシーさん、こんにちわ!
CMより、よりダークで、エグいですね。私は、見た目がどうこうより、胃にくる感じでした。
ティム・バートンは、ダークだけど、ちょっぴりファンタジーというイメージですが、この作品は、結構MAXじゃないかと思います。
ヘレナを見ると、どうしてもバートン監督のもじゃもじゃ頭が、チラつきます(苦笑)
この作品のヘレナは、顔怖いですよ~。主役のジョニーより、断然怖い顔です。夢に出るなら、間違いなく、彼女でしょう(笑)
レンタルされたら、是非、見て下さい。ヨッシーさんなら、余裕じゃないですか?(笑)
by Catcat44 (2008-01-27 17:30) 

クリス

こんばんは!
血みどろはとっても苦手なんですが、この作品は直視できました。不思議と。ただ、ストーリー的には読めてしまって、イマイチ楽しめませんでしたね。中年の女性も、登場してすぐ誰だかわかってしまったし。
バートンが作った世界観だけは評価したいと思います。
by クリス (2008-02-04 20:42) 

Catcat44

クリスさん、こんばんわ!
私は逆で、血みどろも平気なはずなんですが、これはイマイチでした。
ストーリー&人物に、ハマれなかったのが原因だと思ってますが。
みなさん、あの展開には気がついていたのですね。まぁ、後々考えると、そうだな、と思いますが(苦笑)
バートン監督の世界観は、決して嫌いじゃないです。どう感じるかって、やはり大事なんですよね。
by Catcat44 (2008-02-04 22:46) 

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