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連ドラ劇場版のお手本 【相棒-劇場版-】 [映画日記<2008年>]

「相棒-劇場版-絶体絶命42.195km東京ビックシティマラソン」を見たよ!

どこかの途上国。
子供たちのすぐ横を、戦車に乗った兵士が通り過ぎる。
一方、東京では、テレビ塔に吊るされた、元ニュースキャスターの死体が発見されていた。
同じ頃、衆議院議員片山雛子(木村圭乃)の元に、封筒爆弾が送りつけられる。
大事には至らなかったが、特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)の元に、片山雛子の警護の仕事が舞い込む。
その後、何者かが片山雛子を狙って、爆死させようと企んだのだが、この時も杉下と亀山の活躍により、事件は未遂に終わった。
その際、杉下は、英語と数字の組み合わせの落書きを発見するが、テレビ塔に吊るされた元ニュースキャスターの現場にも、同じような落書きがあった事を思い出していた。
この英語と数字の組み合わせは、チェスの手を表す記号で、この手から言えば、実は事件は先にもう一つ起こっているはずだと、杉下は指摘する。
経理担当の陣川(原田龍二)の思わぬ活躍で、事件の被害者が、SNSのサイト内に、「処刑者リスト」として掲載されている事を知った杉下、亀山は、第1の事件も、同じ犯人によるものだと断定。
そのリストを作った人物と、杉下はメールでの接触に成功、そのままチェスの対局へと発展する。
その対局に勝った杉下が得たのは、その犯人が、東京ビックシティマラソンをターゲットにしている事だった。
東京ビックシティマラソンの発起人、瀬戸内米蔵議員(津川雅彦)、片山議員、御厨元総理(平幹二朗)、政界、警視庁、警察庁をも巻き込み、事件は迷走していく。
果たして杉下と亀山は、東京ビックシティマラソンの被害を未然に防ぎ、一連の事件の真相を暴く事ができるのだろうか・・・

特別、放送中のドラマを毎週楽しみに見ている訳ではないのよね。
時々、夕飯を食べながら流し見する程度。
それでも人物設定やらなんやらは、一通り頭に入っているし、この番組の脚本は、他のドラマより、一つ頭が抜き出ている印象があり、それに見に行こうと誘われた事もあって、見に行っちゃいました。

言わずもがな。
このドラマの魅力の大部分は、水谷豊演じる杉下右京と、寺脇康文演じる亀山薫の、超個性的なキャラクターが、愛すべき人物である事。
そして、前述しているけど、脚本にひと捻りが効いていて、小気味良い後味、もしくは、切ない後味が、他のドラマよりも、上手い作りになっているところだと思う。
前に、「踊る大走査線」の劇場版やスピンオフを見た時も思ったのだけど、両者は、劇場版を作った時の、劇場版たる効果を、最大限に生かした作品作りができているところが、まず、見に行きたいと思わせてくれる。
これは、見終わっても、同じ思いだった。
という事は、十分に、楽しめたという事。
やはりこの作品のスタッフは、とても上手い。

ストーリーも、今作もひと捻りが効いていたよ。
とにかく、長い事、ドラマでの放映が続いているから、準レギュラーが多い。
その人たちを、劇場版では、余すところなく、登場させているのがいい。
これは、映画用のスケールや経費だからできる事。
普段できない事なのだから、この際、総出演、ってくらい登場人物が多いわね。
まぁ、逆に言えば、ドラマを知らないと、説明なしに個性的なキャラクターがぽんぽん出てくるから、置いてけぼりをくう可能性も高いのだけど。
その人物たちを、思う存分活躍させて、ストーリーのスケールは、どんどん大きくなっていく。
元々、政界がかかわる事件は、比較的多いんじゃないかな。
だから、準レギュラーの議員もいる。
しかも、杉下の経歴から、警視庁、警察庁の大物も出てくるから、もっとスケールが大きくなる。
これがスムーズにできるこのドラマは、気持ちいいよねぇ。
あいかわらずのネタバレになってしまうけど、今回の、某小国で拉致されたボランティアが射殺される映像は、かなりよくできていたと思うよ。
犯行声明映像なんかも、なかなか本物っぽくって、ちょっとドキドキしてしまったくらいだもの。
この費用の使い方は、好き。
映画でしかできない費用の使い方は、大歓迎よ。
処刑リストに沿った、チェスの手を見立てにした連続殺人事件かと思えば、大規模なマラソン大会の爆破事件へと発展し、さらには、それもフェイクだったり、さらに、さらにが予想を越えてくるのも、この作品の特徴の一つでしょう。
愉快犯かと思えば、事情は一変、復讐劇になり、その真相へ届いたかと思えば、犯人は別人だった、ときたか。
同じ復讐劇でも、実は政界、果ては国に対する私怨が根底にあり、それすらも越えた結末が待ってたよ。
最後、片山議員の記者会見は、やられた~っ、て気持ちいい裏切りだったわ。
思いっきり感情的に、感動させられたかと思えば、実は計算ずくの裏切りがあったり。
この作品の脚本は、侮れないよ。
宣伝がこれまた上手くて、真犯人はCMでも一切登場していないから、事件の真相は、映画館で驚きながら、確かめてみてね。
私も、途中までちょい役かと思っていたから、なかなかびっくりだったよ。
しかも、涙を誘うすごいエモーショナルな演出から、一気にあのたくらみ顔のニヤリ顔だったから、うへーって感じ。

最近、アメリカのドラマにハマったせいで、日本の薄っぺらいキャラクターのドラマには、ちっとも面白いと思えなくなっているのだけど、この作品は、キャラクターのバックグラウンドをしっかり作っていて、キャラクターにきちんと命を吹き込んでいるのが、成功している一つの理由なんじゃないかな。
杉下右京なら、亀山薫なら、こういう行動をとるだろう、という視聴者の予想を裏切らないし、さらにその先まで読んで行動している気がする。
脇役に良い意味でも悪い意味でも強烈なキャラクターがいるあたりも、ヒットする常套手段だけど、プラス要素だよね。
比べるなら、木村くんの「HERO」は、木村くんが演じているからこうだ、みたいなところは裏切らなかったけど、劇場版としての魅力があったかと言えば、YESとは言いがたい。
それは脚本のせいもあるんだけどね。
お金の使い方も、ちょっと間違ってるっていうか、もたいないっていうか、そんなシーンもあったし。
それなら、脚本もひねりが効いていて、俳優の人気で、というよりは、そのキャラクターの魅力で、人気を得ている「相棒」は、やはり頭一つ抜きん出ている作品といっていいと思うんだけどな。

ストーリー展開のスピード感も良かったよ。
静の杉下と、動の亀山。バランスもいいしね。
亀山がどんどん流れを作っているから、テンポが崩れないし。
少々、ベタすぎたり、やりすぎたりはあるけど、許容範囲内。
チェス対決から爆弾探し、事件の真相でどんでん返しかと思えば、さらにその先のオチがある。
このテンポの良さ、展開の早さは、評価に値すると思うよ。
登場人物それぞれの群像劇のようでもあり、でも中心に杉下、亀山が必ずいるから、ブレもなくていい。
いろいろ書いていくと、なんか褒めすぎみたいだな。
まぁ、楽しかったから、褒めてもいいか。

もう一度言うけど、一番喰えないキャラクターは、木村圭乃演じる片山雛子議員。
この人、まだまだ活躍しそうだよ。

全くドラマを知らない方は、予習しておいた方が楽しめるでしょう。
今の時代、公式HPで、知りたい事のほとんどが分かるから、便利な世の中になったよね。
登場人物は、相関図でお勉強できるので、とってもユースフル。かつ親切。
過去の出来事を知っていた方が、そりゃより楽しめるけど、知らなくても楽しめると思うよ。
にしても、岸辺一徳演じる小野田官房室長の、あののらりくらりとしたキャラ、まったりとしたしゃべり方は、さすがだなぁ。

普段、ドラマを見ている方は、この劇場版はお勧め。
あとで、エピソードがドラマにつながっていそうで、ちょっとズルいなぁ、とも思うけど。

映画の批評や感想とは全く関係ないんだけど、最後にどうしても気になる事が一つ。
美和子とたまきさんは、東京ビッグシティマラソン、ちゃんと目標タイム内で、完走できたのかなぁ・・・
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