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なんか気になる作品 【Dr.パルナサスの鏡】 [映画日記<2010年>]

「Dr.パルナサスの鏡」を見たよ!

イギリス、ロンドン。
移動式のステージで「幻想館」を見世物として旅を続ける一座。
Dr.パルナサス(クリストファープラマー)と娘のヴァレンティナ(リリー・コール)、座員のアントン(アンドリュー・ガーフィールド)、パーシー(ヴァーン・トロイヤー)。
Dr.パルナサスが幻想館で見世物とする鏡は、その中の入った者の欲望の世界を作りだせる、不思議な鏡だった。
ある日一座は橋から首を括られて吊るされていた男トニー(ヒース・レジャー)を助ける。
トニーが加わった一座は、トニーの口の上手さに助けられ、かつてないほど客を集める事に成功する。
だが、Dr.パルナサスには心配事があった。
1000年もの昔、悪魔のニック(トム・ウェイツ)と賭けをして勝ったパルナサスは、不死と引き替えに、娘が16歳の誕生日を迎えた時、悪魔に引き渡す約束をしていた。
ヴァレンティナの誕生日は3日後。
Dr,パルナサスの苦悩は日々増していた・・・。

ヒース・レジャーの急死で、途端に注目を浴びたこの作品。

映画を見て困惑したのは久しぶり。
監督テリー・ギリアムの頭の中は、とてつもなく理解しがたいのに、作品が面白くなかった訳ではない、というのがこれまた困った問題で。
見た人それぞれが、違った解釈をして良い作品の類、として、いいのだよね?

Dr.パルナサスの鏡の中の世界は、“良い”と“悪い”の選択がある。
まるで喪黒福造の「どーん」みたい。

しかも“悪い”を選ぶと、いきなり大爆発して、1発目は驚いたぁ。
容赦ないんだか、潔いのだか。

トニーを含め、登場人物がみな、一物抱えてて面白い。
ヴァレンティナは絵に描いたような家庭に憧れ、アントンの思いに気づかず、トニーに恋をする。

アントンは、得体の知れないトニーに、ずっと好きだったヴァレンティナを一瞬で奪われて、やけっぱち。

トニーは命の恩人である一座に恩返しで儲けさせるけど、彼自身は決して善人ではなく、過去の行いから殺されかけたのだし、いたって俗物、である。

そしてDr.パルナサスは・・・。

悪魔との取引は、メジャーな方よね。
10年後に魂を渡さなければならないとか、いろいろ。
Dr.パルナサスは娘を渡す約束をしてしまった。
で、それをなんとか回避しようと右往左往するのだけど、このDr.パルナサス、彼の最後の選択は、そうか、彼もまた俗物なのだな、と。

どこか聖人の雰囲気がずっとしていたの。Dr.パルナサスに。
鏡の世界は欲望の世界。
全員が“良い”方の選択をする訳ではなく、客は喜ばせるけど、悪い連中には天誅とばかりに、“悪い”選択になり、破滅したりする。
でも最後は、娘かわいさに、トニーを騙した。
トニーの死を願う悪魔の提案を飲み、トニーを騙して娘を守った。
すでに娘は、彼の元を去っていたけど。

あの悪魔は、きっと、Dr.パルナサスを陥れたいとか、破滅させたいとかじゃなくって、それこそ不死を手に入れたDr.パルナサスと、きわどい賭けを続けながら、ずっと遊んでいたいじゃないか、と思ったわ。

Dr.パルナサスが客に見せる欲望の幻想の世界は、カラフルでチアフルでポップで、なんだろ、夢の世界?おとぎの国?いかにも、なデザインとか、分かりやすいというのか。
言葉に困るなぁ。

“悪い”方もわかりやすくて、暗かったりおどろおどろしかったり、不気味だし、良くないというのが丸分かり。

現代、CGなんて現実の世界と境目が分からないくらい技術があるのに、Dr,パルナサスの幻想の世界は、なんとなくチープなCGの世界の匂いがして、ほくそ笑みたくなったわ。
全てがオモチャちっくなのね。

Dr.パルナサスにとって、トニーって結局何者だったんだろう。
彼のおかけで、というか、彼がいてこそ、ヴァレンティナは助かったのだけど、
何か、変化をもたらしたキッカケであったのだね。
Dr.にとっては、身は持ち崩したけど、ヴァレンティナは憧れだった普通の幸せな家庭を手に入れたのだし、
悪魔とはまた微妙な関係を続けられて、
彼は生き続ける。
か。

うーん、読んでいて気づいたかもしれないけど、この作品、どう書いていいかよく分からん。
感情移入するのが誰か、って問題もあるけど、
つかみどころがないというのか、やはり分からなかったというのか、
でもあの幻想の世界は好きだ。
だって、でっかいDr.の顔が舌を出して、最後は舌を出したまま、くるくる高速で回って飛んでいっちゃったを見たら、なんか負けたなぁ、って思ったもん。

見た人がどう思ってもいいと思う。
分からないからつまんない、っていう人もいると思うなぁ。
分かんないけど面白かったんだけど、やっぱり言葉に出来ないし。

ただ、なんとなく、みんな登場人物が自分の欲望に勝てないというか、欲望を見せる鏡の世界より、現実の世界で人物たちが欲望に振り回されているというか、それが人間らしいというばその通りだし。

最後に。
ヒース・レジャーが撮影途中で亡くなってしまったけど、それを友人だったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが引き継いで演じて、作品が出来上がっている、というは、驚嘆に値する。
もちろん作品がファンタジーの世界で出来上がっていて、鏡の中の世界を3人が演じているから、引継ぎやすかったのはあるけどね。
そのおかげけで、非常に豪華な作品になったよ。

ヒース・レジャーは、「ダーク・ナイト」のジョーカーが、非常に生理的に嫌悪感がするキャラクターで、その演技が良すぎただけに、見ていてイヤな感じだったの。
でもトニーを演じるヒースを見ていると、上手い役者さんだな、って思えた。

クセがある作品、というより、クセだらけで、つかみどころがない作品、のポジションかな。
理解はできずとも、映像のセンスは好きだし、なんか面白かった気がする。
なんか気になる作品ですよ。
この作品の解釈はこうだ、と断言できる人がいたら、ちょっと講釈して欲しいかも。
多分、誰が講釈してくれても、半分納得で、半分納得できないんじゃないかと、思うけどね。

あ、でも、あの鏡の中に、入ってみたい。
果たして私には、どんな世界が見えるのか。
怖いような、楽しいような。

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