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日韓合作の意味なし 【ロスト・メモリーズ】 [映画日記<2006年>]

「ロスト・メモリーズ」をレンタル&視聴。

日韓合作。
近未来アクションと銘打ってあるけど、どちらかというと歴史タイムパラドックスでしょう。
“if”の世界の、日韓史とでも言えばいいかな。

1909年、ハルピン駅での伊藤博文暗殺失敗。
原爆はベルリンに投下され、日米連合軍は、第二次世界大戦に勝利する。
朝鮮半島は日本になり、100年。
2009年、京城(ソウル)では、韓国独立派によるテロが、活発化していた。
とある日、井上財団主催による、美術品展示会が襲われる。
事件解決に駆けつけたJBI(日本特殊捜査局)所属の警官、西条(中村トオル)と坂本(チャン・ドンゴン)。
事件を探るうち、井上財団の秘密、“月霊”を巡る攻防、歴史に隠された陰謀、大きな時の流れに巻き込まれ、やがて二人の友情は引き裂かれてゆく。
果たして、事件を追う二人が目の当たりにする、隠された歴史の真実、そして隠させた“月霊”の本当の姿とは・・・

とあるユーザー・レビューに、
「韓国人のマスターベーションを、中村トオルが手伝った」
そうあったのだけど、おそらく、そうなのでしょう。

先に誉めておこう。
“if”の歴史という着眼点は、非常に面白かった。
もし日本が第二次世界大戦に勝っていたら・・・
朝鮮半島が全て、日本だったら・・・
現ソウル市内が、日本の内地みたいになっているのは、不思議だよ。
全て日本語書かれていて、話す言葉も、もちろん日本語。
豊臣秀吉の像があったり、現韓国人の選手が、日の丸背負っていたりね。
元朝鮮人は、朝鮮系日本人。
いいアイディアだと思う。
そして、韓国独立派のテロってのも、当然起こるだろうと想像できるしね。
で、主演が中村トオルと、チャン・ドンゴンだから、私は当然、二人の男の、友情物語が見れるのかと、勝手に思っていたのだけど。
途中から話が違う方向に進んでいって、いやー、参ったね。

ここからは、お待たせしました。ツッコミタイム!
まず、セリフの半分以上が日本語なのだけど。
そりゃ、統治されて100年たてば、皆、日本語はペラペラのはずでしょう。
韓国時代は遠い昔。
世代も変わっていて、韓国語を話せる人の方が少なくなっていてもおかしくない。そういう時代のはず。
日本語のセリフで頑張ったチャン・ドンゴンは、よくやったよ。
よく頑張ったとは思うけど、かなり聞きづらい彼の日本語のセリフに、見ているこっちとしては、気を取られる。
聞き取れないセリフも、結構あった。
ま、それはまだ、許容範囲内。

ストーリー展開として、キーとなるのが、“月霊”
石でできた発掘物で、実はこれが、過去に戻る事のできる代物。
井上財団が何より“月霊”守りたかったのは、“月霊”を使って、1909年に伊藤博文の暗殺を未遂に終わらせたのが、未来からタイムスリップしてきた、井上自身だったという事。
歴史は本当は今のとおり、日本は敗戦国で、原爆も落とされていて、韓国は韓国のもの。
それをムリヤリ変えてしまったのだという事よ。
人為的に、歴史を変えてしまった。それを知ったのが、韓国独立派の人たち。
当然、歴史を元に戻そうと、自分達の民族の誇りにかけて、そう思っても、決して不思議ではないよね。
それは、分かる。

西条と坂本の、友情物語かと思っていたのが、違っていたのは、西条がれっきとした日本人であるのに対し、坂本は朝鮮系日本人だという事。
今の日本を守りたい西条に対し、歴史を取り戻したい坂本。
この二人の対決に、話は進んでいくのだよね。
でも、そうなると、西条対坂本が象徴するのは、日本対韓国。
国の対立なのだよ。
せっかく日韓合作で、友情物語かと思いきや、その内情は、国の我の張り合い。
ラストで坂本が西条を撃ち殺す事からも、分かるとおり、韓国がヒーローで日本が悪役、韓国が日本に勝った、多分それが本当に言いたい事なのだよ。
つまらん。
途端につまらなくなった。
確かに、ツッコミどころ満載で、呆れる一歩手前でなんとか踏ん張っていたのに、後半、急に冷めたわ。
だから、「韓国のマスターベーション」、そういうレビューがあがるのだよ。
合作の意味がないよね。
マスターベーション的なものを作りたいなら、日本人を巻き込む必要なし。
だいたい韓国は、「冬のソナタ」に代表されるように、日本人のおばさま方からしこたま儲けておいて、自国民からは反日映画でしこたま稼いでいるのだよ。
全て友好的にとは言わないけど、合作で対立はないっしょ。
中立ならともかく、どちらかの目線になってしまった時点で、感情的にも対立するに決まってるって。
韓国人は見ても気持ちいいかもしれないけど、これを見てなんとも思わない日本人はいないと思う。
だから、中村トオルは、本当によくやったと感心するわ。
私が合作に期待するのは、こういう事では、ないな。

相変わらず、日本の印象というのにも、がっかりさせられる時がある。
西条の自宅は、日本のお寺が撮影場所だったらしいけど、純和風の邸宅で、西条も奥さんも和服。
素晴らしい庭園があって、粛々とした妻が、家を守る。
違和感ないらしいよ。
こっちは、違和感ありすぎなのにね。
現状じゃ、共稼ぎが標準になりつつあり、和室のない家に住む人が、たくさんいるってのに。
欧米やアジア以外なら大目に見るし、完全なSF世界ならともかく、お隣韓国までこれじゃぁ、なんかねぇ。
確かに、和室はいいよ。落ち着くし。畳の匂いとかも、嫌いじゃない。
でも、和服を普段着にしている人って、ものすごく限られているよね。
真夏の甚平ならともかく、こういう印象から逃れられる日は、いつか来るのかなぁ。

少し前、自分の祖父が、職業軍人だったって事を知った時、“if”を考えてみた事がある。
もし戦争に勝っていたら、祖父は、毎朝部下二人がお迎えに来るくらいの人物だったらしいから、父はボンボンかなぁ、とかね。
でももしそうだったら、民主主義になるキッカケはなくて、帝国主義が続いていたかはわかんないけど、軍事国家にはなっていて、今のような国ではなかっただろうね。
何故か、ちょっと怖いわ。

どうも、韓国人の本音を、垣間見てしまった気がする。
見なきゃ良かった、と思った、数少ない作品の一つになっちゃった。
CGやアクションの技術がとか、どうこういう以前の問題。
戦争の問題を、どうこういう気は、全くないけど、社会派の映画を作りたかったのなら、これでもいいのだけど、アクション娯楽作を作りたかったのなら、どうなのでしょうね。
設定の着眼点は面白かっただけに、すごく残念な気分だわ。
「シュリ」を見た時も思ったけど、韓国映画の銃撃戦は派手で、血のりも多いし、簡単に頭も撃ちぬくよね。
それはハリウッド映画ではあまりできないから、韓国の特徴だよ。
でも、この見終わった後の、中途半端さと、気持ち悪さはなんだろう。

思い出したけど、子供をダシに使っちゃダメよ。
スローモーション&ドアップで、子供を撃ち殺しておいて、感情に訴えようってハラだと思うけど、これは卑怯でしょう。
子供が死ぬのを見て、なんとも思わないなんて事はないのだからさ。
これは、反則技。

日本人には、決してお薦めできないけど、もし、怖いもの見たさがあるなら、見てみる?
コメンタリーをちろっと聞いていたら、中村トオルの人柄を、チャン・ドンゴンが誉めていて、それで日本人の俳優のイメージが良いものになったらしく、それが唯一の救いな気がする。
いろんな意味で、すごい1本だったわ。

ロスト・メモリーズ

ロスト・メモリーズ

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2005/11/18
  • メディア: DVD


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コメント 7

堀越ヨッシー

日本に入ってこないだけで、日本人=極悪人っていう図式の映画はごろごろあるらしいですね。ヨン様ファンのおば様たちや韓国の恋愛映画大好きっ子の人達はそう言う事知らないんでしょうね。日本って平和だなー...(なんかちょっと泣けてきた)。
そういうお国の映画事情を聞くだけで韓国映画って見る気しないですね。故にオイラは好んで韓国映画を見ようとは思わないです。ソン・ガンホとか好きなんですけどね...。
by 堀越ヨッシー (2006-10-16 07:42) 

Catcat44

そうらしいですね。反日ってだけで、稼げるみたいですから。
韓国や中国には、根強く反日感情ありますが、日本で反中や反韓は聞かないですよね。日本って、やっぱ平和なんですよ。泣かないで下さいね。
えっと、完全に選択ミスしました。撃ち合う映画が見たかったんですよ。
「ディパーテッド」の評判が良いので、元作品の「インファナル・アフェア」を見ようかどうか、非常に悩み中です。これは香港映画ですね。
by Catcat44 (2006-10-16 18:37) 

堀越ヨッシー

「インファナル・アフェア」、面白いって話ですよね、残念ながらオイラも未見ですが。
ところで、ベニチオ・デル・トロの「誘拐犯」はご覧になった事ありますか?。クライム・サスペンスとしてもなかなか面白いですし、最後のドンパチシーンはかなり迫力があると思いますよ。未見なら是非お薦めします。

追伸....女性なのに撃ち合う映画が見たい..だなんて珍しい、
LICCAさん...貴女、ただ者じゃないですね?(苦笑)。
by 堀越ヨッシー (2006-10-17 19:04) 

Catcat44

バレました? なんて(笑) 
何故か昔から甘い話は苦手なんです。
「マーガレット」より「ジャンプ」なのですよ(苦笑)
あとは、最近会社で、イライラが多かったって事で・・・
「誘拐犯」チェックしますね。ありがとうございます。近いうち、見ます!
by Catcat44 (2006-10-18 12:54) 

ぷぅ

今更なんだけど、夕べ深夜にこの映画をテレビで見ました。
ウトウトしてたら肝心のどんな歴史がどんな歴史に変わったのか見落としてしまい、確認しようと検索してて、ちょこっと寄ってみましたw
ウトウトしつつも、『ナンカ俳優さんが真面目な顔すればするほどシラケてくるなー』と思っていましたよw
でもまぁ、アクション関係は、徴兵があるせいかマッチョだし、韓国の方がサマになってるよーな気がしました。映画全体にしても日本よりレベルが上の感じが残念ながら・・・。
でも映画の背景にある韓国人の感情が透けて見えるのが辟易。
ほんと。やってられませんて。

ところで、
>民主主義になるキッカケはなくて、帝国主義が続いていたかはわかんないけど、軍事国家にはなっていて、
とあったけど、日本はそんな言葉も無い卑弥呼の頃から共和制ぽかったよ。卑弥呼はたくさんあった大和の国々の話し合いで選ばれた代表だったんだよ。
それに聖徳太子の十七条憲法とか鎌倉時代の御成敗式目とか、れっきとした法治国家だった。
法治国家であることは民主主義の基本だよね。
幕藩体制だって結局は似たようなもの。
どの藩も自立した上で徳川に従ってたワケだし、もし徳川が倒れてたとしても、幕府を運営する能力のある大名が他に出てくるという点では清王朝が倒れて大混乱になった中国とは大違い。
1919年のパリ講和会議に世界で初めて『人種差別禁止』を盛り込もうと提案した日本に対して反対したイギリス・アメリカ・オーストラリアには、そんなに立派な民主主義があったのかな。
つまり言いたいのは、日本に民主主義が無かったなんて嘘だし、アメリカに民主主義を貰ったなんてのも嘘だってこと。
こんなこと、もう知ってるよね。
初めてやってきたくせに、他の記事も見てないくせに、発作的に書いてしまった。
気に入らなかったら(気に入らないよね。汗)消してね。
バイバイ。
by ぷぅ (2007-02-04 17:23) 

Catcat44

消すほどでもないと思いますよ(笑)
ま、“もし日本が戦勝国だったら”という、茶飲み話程度の発想ですから。あしからず、という事で。
by Catcat44 (2007-02-04 18:34) 

ぷぅ

おお、寛大な方だ。お返事ありがとう。
by ぷぅ (2007-02-04 18:48) 

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