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精神安定剤 【マーキュリー・ライジング】 [映画日記<2006年>]

「マーキュリー・ライジング」をレンタル&視聴。

ブルース・ウィリスのヒーローアクションは、私の精神安定剤・・・になりつつあるようで。
想定内だけど、安心して見られる作品。

国家安全保障局NSAが巨額の費用を投じて開発、使用している暗号“マーキュリー”。
暗号作成員が、上司に内緒で、“マーキュリー”を一般のパズル雑誌に掲載してしまうと、それを解読したのは、何と9歳の男の子だった。
暗号を解読したのは、パズルに特別な才能を発揮する、自閉症児のサイモン(マイコ・ヒューズ)。
この失態を隠蔽しようと、NSAはサイモンを家族ごと消そうとする。
両親が射殺される中、間一髪、隠れて逃れたサイモンは、FBI捜査官のアート・ジェフリーズ(ブルース・ウィリス)に保護される。
アートは、ベテランの囮捜査官だったが、先の事件で上司と揉めた末、閑職へ回されていたところを、呼び戻されたばかりだった。
アートはサイモンの命が危ないと知ると、単身、彼を守る為、奔走する。
執拗にサイモンの命を狙うNSAのクロドー大佐(アレック・ボールドウィン)。
アートはサイモンを守りきる事ができるのだろうか・・・

ブルース・ウィリスの、父性本領発揮。
孤独で一匹狼のFBI捜査官なんて、いかにもな役柄だけど、子供との相性はバツグンだね。
先の囮捜査で、あと3秒あれば、犯人一味を説得、投降させられたところを、みすみす射殺させてしまい、しかも二人はまだ十代の子供で、彼はそれがしこりとして残り、安定剤を常飲するまでに落ち込んでいるのだよね。
ま、そんなアートの心を溶かすのが、サイモンなのだけど。

サイモンを演じたマイコ・ヒューズ君が、驚くほどの演技派。
小児精神科医の充分な監修があったとしても、彼の自閉症児の演技は、ピカイチ。
ものすごいリアリティで、説得力がありすぎる位だよ。
ブルース・ウィリス演じるアート・ジェフリーズが、ある意味平均点なキャラクターだから、このサイモンという役が、この作品の善し悪しを左右していると言っても、過言じゃないんだ。
サイモンは自閉症を患ってはいるが、知能に異常はなく、しかも自閉症患者特有の、ある特定の物事に特別な才能を発揮する能力を持っているのだよ。
サイモンの場合は、パズルや暗号解読といった能力ね。
その為に命を狙われる訳だけど。

国家安全保障局が、自らの失態を隠蔽する為とはいえ、国の大佐の命令でだよ、一般市民をいとも簡単に殺させてしまうのは、確かにちょっと強引というか乱暴だよね。
ま、でも、もし失態を認めるとなると、でき得る限り早急に、各国に入り込んで活動している諜報員を、全て撤収させ、その上で失態を発表して、巨額の費用はパァ、さらに責任まで取らなくちゃならないとなると、案外、そういう事態が起こらないでもないのかなぁ。
いや、あまくで、フィクションなのだけどね。
何十人、何百人の諜報員の命と、9歳の男の子一人の命。
どちらを選ぶか。
これを問うているのだけど、そんなの比べられる訳ないじゃない。
どちらも大事。選べない。
そういうテーマがあるのだね。

それともう一つ。
サイモンとアートの、心の交流ね。
自閉症患者は、他人とコミュニケーションをとるのが、非常に困難。
一瞬で両親を失い、しかも見ず知らずの男に連れまわされるはめになったサイモンが、最初はどうしようもないのだけど、次第に、アートと一緒にいるのが普通になっていき、最後には友達になる。
あぁ、なんて予定調和なのでしょう。
なんて映画向きなのでしょう。
いや、悪い意味じゃなくってね。
子供と動物には勝てないって言うらしいけど、孤独な男と孤独な少年、組み合わせ的にはサイコーでしょ。
分かってはいても、二人の心の交流に、温かさを感じられるのだから、それを楽しめばいいのよね。

必要に迫られたとは言え、病院でしかも小児病棟でいきなり発砲したり、
途中から登場するヒロイン、無理矢理サイモンの為に巻き込まれる女性なのだけど、彼女の存在があまり意味がなかったり、
毎度の事だけど、国家安全保障局の面々、ようは敵役が、いまいち小者だったり、
ツッコミどころというか、物足りないところは多々あると思う。
それでも、アートが、終始ヒーローでいてくれるので、やはり精神安定剤なのだよ。
当たり障りがないと言ったら身も蓋もないけど、可もなく不可もなくと言ったら元も子もないけど、
ヒーローものとは、そう言うものなのかもしれないね。
想定内だけど、安心して見られる作品。
うん、間違いない。
そういう気分の時、見てね。

マーキュリー・ライジング

マーキュリー・ライジング

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • 発売日: 2006/11/30
  • メディア: DVD


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コメント 2

堀越ヨッシー

ども、すっかり入り浸ってる常連客のヨッシーです(笑)。
最近、オイラの好きな映画が続くなー、ウヒョーーーー!!
子役のマイコ・ヒューズ君の演技がリアルでホント素晴らしいんですよね。この手の映画にしては珍しくそういう部分を丁寧に描いてて好感が持てます。ぜひ草薙剛クンにも見習って欲しい演技力ですね(...たぶんマイコ君には勝てないだろーけど)。恐らく映画的に誇張して描かれてる部分もあるとは思うけど、それでもあの芝居には素直に感動を覚えました。海外の子役、恐るべし...ですね。
ブルース・ウィリスは、挫折した男をやらせるとホント画(え)になります。
アレック・ボールドウィンのエリートで非情な男もハマり役で、あの青い瞳が怖さ倍増です...(苦笑)。
サントラ好きのオイラとしては、ジョン・バリーの音楽の素晴らしさも推しておきたい所です。
唯一見てて残念!..って思ったのは、最後のビルの屋上でのシーンが“スタジオ撮影バレバレ!”だった所。もう少しうまく撮って欲しかった!。
もちろん、DVD持ってます!。
by 堀越ヨッシー (2006-10-24 08:01) 

Catcat44

>ヨッシーさん、niceありがとうございます!
コメントは嬉しい&ありがたいので、大歓迎です。見て下さる方は多数いらっしゃいますが、コメントまでとなると、なかなかアレですからね。
最近の作品選びは、ツボついちゃってますか?(笑)
こういう役のブルース・ウィリスは結構好きです。
草ナギ君もタイムリーですけど、今までの日本のドラマで見た自閉症より、かなり本物っぽかったですよね。マイコ君(ミコ君に聞こえますよね)はスゴイ!
サントラまではなかなか気がいかないので、返却までに時間があれば、もう一度見てみようかしら。
電車に挟まれるシーンもそうでしたけど、案外合成シーンがバレてて、もったいないなぁと。これはスタッフの手腕ですけどね。
by Catcat44 (2006-10-24 21:29) 

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