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美しさのあいだに 【ブラック・ダリア】 [映画日記<2006年>]

「ブラック・ダリア」を見たよ!

まだ公開中、ネタバレしてますから、注意ですよ。

1947年1月
エリザベス・ショートという女性の惨殺死体が発見される。
L.Aで実際に起きたこの事件自体は未解決だが、
それを元にジェイムズ・エルロイが書いた小説「ブラック・ダリア」
この作品は、その小説を、ブライアン・デ・パルマ監督が映画化したもの。

ロス市警の警官でボクサーのドワイト・“バッキー”・ブライカート(ジョシュ・ハートネット)は、同じく警官でボクサーのリー・ブランチャード(アーロン・エッカート)と、試合をする。
試合自体は、八百長で、バッキーは父親を老人ホームに入れる金を手に入れる為に、KO負けが決まっていた。
その試合がキッカケで、リーに誘われるまま、バッキーは特捜課の一員になる。
リーには、同棲中の恋人、ケイ・レイク(スカーレット・ヨハンソン)がいた。
ケイは、かつてリーが逮捕、刑務所送りにした銀行強盗犯のデウィットの娼婦だった女。
やがてバッキーを交えて、3人での楽しい時間が過ぎる。
ある日、手配中の極悪犯ナッシュの張り込みをしていた二人は、銃撃戦に巻き込まれ、その際、情報屋のフィッチが撃たれて死んだ。
その時偶然、そのすぐ側で、エリザベス・ショートという女性の惨殺死体が発見されていた。
エリザベスは、身体を真っ二つに切断され、口は耳まで裂かれて、内臓が抜かれ、全裸で放置されていたのだった。
その死体を見たリーの態度は一変する。
リーは、上手く自分とバッキーを殺人課へ異動させると、エリドベス・ショート殺害事件を解決しようと、執拗な執着を見せ、昼夜かまわず捜査をするようになっていた。
時々、リーに変わり、ケイの様子を見に行くバッキー。
やがて、バッキーとケイの関係も、少しずつ変わっていく。
捜査の過程で、バッキーは大富豪の娘マデリン・リンスコット(ヒラリー・スワンク)という女性と出会う。
彼女は、殺されたエリザベスにそっくりだった。
だが、事件の真相は、リーの秘密と共に、バッキーの予想外の展開を見せる。
果たして、事件の真相は・・・
リーの秘密とは・・・
バッキーとケイの関係は・・・

とにかく、人物関係が複雑で、上手く書ききれないよ。
ちらっと登場しただけかと思えば、後でポイントで登場したりするから、よーく見ていても、誰だっけ?てな事になりかねない。
バッキーは、彼は周りに振り回されて、事件の真相を解いていくストーリーテラーの役割だね。
彼に秘密はないよ。
後の重要人物は、何かしら秘密を持っているのだから、始末が悪い。

表面上のつながりと言うと、
リーはデウィットを刑務所に送った後、ケイを匿う様に大切にしている。
だが、ナッシュ逮捕をそっちのけにしてまで、リーはエリザベスの死体に執着を持つようになり、バッキーを困らせる。
それも、昔、リーの妹が、お蔵入り事件で殺されており、そのせいだと分かる。
事件を追うバッキーは、エリザベスと同居していたローナが、レズビアンだと知ると、レズバーを捜査していた折り、マデリンと出会う。
彼女は最初はただの参考人だったけど、マデリンがバッキーを誘うと、どこかマデリンは怪しい雰囲気を醸し出してくる。
でも、事件そのものと、マデリンがどう絡んでいるのか、それはいまいち分からないまま。
そのうち、そっちのけだったナッシュが、殺人事件を起こして、射殺される。
バッキーが悔やんでいる間も、リーはエリザベスにご執心で、バッキーはマデリンと段々深い仲になっていく。
今度は、ケイがそっちのけ。
でも、デウィットが出所してくると、リーはデウィットの元に現れ、バッキーの見ている前で、デウィットもリーも殺されてしまう。
ますます訳の分からなくなったバッキーだけど、次第に彼は、事件の真相に迫っていく。

次に、本当のところ。
リーは、デウィットを刑務所送りにすると、ケイを匿い、デウィットの金を横取り。
自宅に隠していた。
そのネタをつかんで、リーを強請っていたのが、情報屋のフィッチ。
ナッシュ張り込みの際の銃撃戦は、実はリーが、フィッチを殺す為の目くらまし。
リーはさらに、バッキーからマデリンの存在を知ると、彼女と彼女の家にまつわる秘密を探り出し、今度はマデリンの父、大富豪のエメット・リンスコットを強請る。
リーは、バッキーよりも先に、エリザベス・ショート殺害の犯人が、エリザベスに懸想したエメットの友人と、マデリンの母との仕業であるとつかんでいた。
だが、エルットを強請ったが為に、リーは殺される。
それは出所してきたデウィットとは全く関係なく、父を強請られて怒ったマデリンの仕業。
真相をリンスコット家に突きつけに行くバッキーだが、元々薬中毒の母は自殺してしまう。
後、マデリンと対峙するバッキーは、マデリンを射殺。
リーにも裏切られ、マデリンにも裏切られ、散々、振り回されたバッキーは、事件の真相を解くと、ケイの元へ帰って行った。

映画を見た後の、いまいち良く理解できなかったモヤモヤした部分は、自宅に帰ってから、公式HPでおさらいしたら、すっきりしたわ。
主役級のバッキー、リー、ケイ、マデリン以外の人物が、分かりにくいね。
デウィット、ナッシュ、フィッチとかね。
やっぱり、予習してないと、苦しいかもね。

1947年が舞台で、その雰囲気は、すごくイイ。
バッキーのぴとーっとした髪型はアレだけど、スーツとか車とか建物とかイイよね。
ケイの服装が、めちゃくちゃ可愛いし。
全編、薄茶色っぽいフィルムが、当時の雰囲気醸し出していて、それでいて、エリザベスやマデリンの髪は真っ黒で、瞳はギラッとしていて、ケイの唇は赤々していて、色彩が目に付く部分がドキッとさせる感じだったよ。

R-15指定で、話題にもなっていたジョシュのからみのシーンがそうさせたのかと思っていたのだけど、それに関しては、大した事なかった。
惨殺死体の方が、Rだったのかも。
あまりどんと映す事はなかったけど、死体はかなかインパクト大。
耳まで裂けた笑い顔は、不気味だよ。
バッキーは、ケイともマデリンとも激しく絡み合うけど、映しているのは、そのほんの始めだけ。
よほど「君に読む物語」とか「マイアミ・バイス」とかの方が、そのままの行為を、どんと映してたよ。
一番官能的だったのは、エリザベスがローナと撮った、レズポルノの、ナニがナニする時のエリザベスの表情だろうな。
・・・ストレートに書きたいけど、一応、自己規制。お子様が読んでいるとマズイからね。

バッキーがストーリーテラーで進んでいくけど、なんだかとても散漫な感じがする。
秘密やら真相やらが、あっちこっち、と言っても、バッキーの手で暴かれていって、それなりにぐっとくるのだけど、的が定まらないというか、やっぱり散漫なのだよね。
登場人物が多いから、って理由でもない気がする。
リーにしても、途中、登場しない時間帯があったり、ケイとバッキーが、そこまで愛し合っていたかっていわれると、描写としては、軽かった気がする。
リーが、金の横取りや強請りたかりをするような小悪党だって言われても、どこか収まりが悪い気がするのだよなぁ。
よくよく考えると、マデリンがそこまでバッキーにこだわる理由も、いまひとつじゃないかな。

真相とは言え、エリザベス殺害の実行犯が、母親が加担していたのは分かるけど、あのキャラで犯人とは、ちょいと反則技じゃない。
服用している薬で、常に酩酊状態だし、気がフレている人物ってのはねぇ、扱いにくいっしょ。

エリザベスを演じたミア・カーシュナーもだけど、マデリンを演じたヒラリー・スワンクが、すごく美しかった。
スカーレット・ヨハンソンは、言わずもがなでしょ。
ヒラリー・スワンクは、「ミリオンダラー・ベイビー」の時に、映画は未見なのだけど、散々メディアに出ていたのを見ていて、こんなに魅惑的な雰囲気のある女優さんだとは思わなかったわ。

予習復習が非常に大事な作品かな。
雰囲気はすごくイイけど、すっきりできるかどうかは、その人次第って気がしないでもないな。
前に「シリアナ」で、人物関係がさっぱり分からなくなって、呆然とした経験があるのだけど、それに比べれば、ちゃんと分かって見ていたよ。
だから、このもやっとした感覚は、人物関係のせいじゃなくって、ストーリーの流れのせいって事だ。
雰囲気がイイだけに、今一歩な感想がおしかったよなぁ。


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堀越ヨッシー

LICCAさん、こんにちは!。
本日は午前中にLICCAさんからコメントがきたので、ちょっとビックリしたオイラです。
ヒラリー・スワンク、美しかったですか?...やっぱり男性と女性では感じ方が違うって事ですかね?(苦笑)。オイラは毎月「映画秘宝」という雑誌(オシャレな映画好きの方はまず読まない雑誌)を買って読んでいるのですが、その中の記事で“スワンクに美人役は似合わない!、彼女は生活感溢れる庶民を演じて初めて画になるんだ!”..みたいな事が書いてありまして(苦笑)。
...本記事とは直接関係ありませんが、個人的興味でお聞きしたい事があるのですが、いいですか?。
LICCAさんは映画を見に行かれる時、その映画の情報を前もってどれぐらい仕込んで見に行かれるのですか?。例えば今回の「ブラック・ダリア」だと、やっぱり事前に雑誌とかネットとかである程度情報を仕入れてから鑑賞に行かれたりされるのでしょうか?。
オイラも昔はいろいろ調べて、情報をある程度仕込んでから見に行ったりしてましたが、最近ではそんな事もなく、「おっ!?、デヴィッド・モ^スが出てるな?...16ブロックス見に行こうかな?」とか、「サミュエルが飛行機な中で蛇と闘う?..面白そう!!」とか、そういったしごく簡単な理由で見に行く事を決定したりしてますが...(と言いながら、まだどっちも未見...orz)
余談ですが、雑誌「映画秘宝」にはLICCAさんの好きな大槻ケンヂの連載が載ってますよ!。
by 堀越ヨッシー (2006-10-31 18:17) 

Catcat44

ははっ(笑)
仕事の休みがバラバラなので、今日は休日のわりに、ちょっと早く起きました。といっても、あの時間で、寝起き(爆)
ヒラリー・スワンクは、美人だと思っていなかったので、ちょっとした驚きだったのですよ。あまりはっきり書くと、失礼かと思って、曖昧に書いたつもりで。

映画を見に行く時、私は、結構細かく調べちゃいますね。
作品によっては、主演と簡単なあらすじしか知らなくて、見に行く場合もありますけど。
性格的に、ネタバレがガマンできないのですよ。
見に行く前に、いろいろ知りたくって仕方がないんです。特に、公開まで日にちがあって、早く見たくてたまらない時とはか、もうガマンの「ガ」の字もないくらい(苦笑) 海外サイトまで調べに行っちゃう事もあったり・・・
あまりネタバレしないで見た方が楽しい、とは思っているんです。ネタバレ、人にはお薦めできませんよ。
でも、知りたくて仕方ない・・・そういう性格なので、最近では、調べて詳しくなるのを、楽しんでますよ。
大槻さんは、ヘンテコな映画好きのようですね。
最近は、すっかり物書きですが、私は彼の歌詞が、たまらなく好きだったりします。
筋肉少女帯の曲には、たまに映画が出てきたりします。「マタンゴ」とか「真夜中のカウボーイ」とか「ララミー」とか、ですかね。
by Catcat44 (2006-10-31 20:13) 

timetobe

こんばんわ。コメント有難うございました。
ショッキングな内容だけに観に行く人もあまりいないだろうと思っていたのですが、さすがですね!
上映中の館内はさぞかし、もやっとしていたのでしょう。
by timetobe (2006-11-01 22:42) 

Catcat44

>Milvaさん、お越し頂き、niceまでありがとうございます。
実は、もっとエグい映像が出てくるのかと思っていました。
最後の幻覚?の部分が、一番ドキッとしちゃいましたよ。
by Catcat44 (2006-11-01 23:21) 

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