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コテコテ西部劇なのだけど 【ラストマン・スタンディング】 [映画日記<2006年>]

「ラストマン・スタンディング」をレンタル&視聴。

言わずと知れた(?)、黒澤明監督の「用心棒」のリメイク。
設定を、禁酒法が施行されていた頃の西部劇に移して、テキサスの乾いた風が舞う街での、ある男のストーリーとしている。

その男は、メキシコへ逃げる為、テキサスの乾いた大地を車で走りぬけていた。
給油と食事の為に、その男が立ち寄った街、ジェリコ。
そこは地図にも載っていない、忘れ去られた荒れた街。
その街は、アイルランド系マフィアのドイル(デヴィット・パトリック・ケリー)一味と、イタリア系マフィアのストロッジ(ネッド・アイゼンバーグ)一味が、縄張り争いをしていた。
その男、ジョン・スミス(ブルース・ウィリス)、そう名のった男は、早速手荒い歓迎をしたストロッジの手下を血祭りに上げる。
銃の腕を買われて、ストロッジの用心棒として雇われたスミスは、だがしかし、この縄張り争いが金になると踏むと、ストロッジ、ドイル、両方からでき得る限りの金を巻き上げようと、スミスはストロッジを裏切り、今度はドイルの用心棒になる。
二組の抗争が激しくなる中、スミスは、ストロッジの情婦ルーシーと、ドイルの囲っている女フェリーナと親しくなり、争いに巻き込まれている女達を、憐れに思うようになるが・・・
果たして、スミスは計画通り、金を手に出来るのか、
そして、二組の抗争は、どう決着が付くのだろうか・・・

コテコテの西部劇の出来上がり。
二丁拳銃で、何人ものギャングを秒殺するスミスは、本物のガンマン・・・いやぁ、イイね。
本家の「用心棒」で、未見で申し訳ないのだけど、主人公が刀で秒殺するように、こちらは銃で秒殺。
銃声と共に、撃たれた男達が吹っ飛び、机の上の皿や食べ物が舞い上がり、後に残るは死体だけという、なんともお約束なシーンが、てんこ盛り。
ちょっとヤラレ役の人達、後ろに吹っ飛びすぎなのだけどね。
ボスはボスらしく、ナンバー2はナンバー2らしく、その他大勢はその他大勢らしく、女はそれらしく、みんな自分の役割を分かっているようなキャラ設定だよ。

ブルース・ウィリス演じるスミスは、寡黙で大胆不敵で、淡々と自分の計画を実行するタイプ。
セリフより、ナレーションで入る独白の方が、スミスの心情をよく表しているよ。
誰にも干渉させず、自らも誰にも干渉しない。
そういうスタンスなのかと思っていたら、実はそうでもない事があとで分かるよ。
金しか頭にない、万事金次第の男かと思っていたら、それぞれのボスの女を憐れと思い、ただ女に甘かったのかもしけないけど、この二人を逃がして、特にドイルの女フェリーナを逃がした事が原因で、ドイル一味から、フェリーナの居所を問い詰められ、酷い暴力を受けるはめになるのだな。
それまでは、それこそ淡々と、両陣営を手玉にとって、いけしゃあしゃあとやっていたのに、女に手を出した途端、スミスにしてみれば、予想外の展開になる訳だ。

ドイルにしても、ストロッジにしても、スミスにまんまとやられていて、ちょっと情けない。
手下共はいまいち愚かで、スミス一人に右往左往しているように見えなくもない。
ドイルVSストロッジだけのままであれば、似たもの同士、似たり寄ったり、どんぐりの背比べ状態だったのに、そこに偶然スミスが入ってきたのをキッカケに、二組の抗争は、休戦状態から一気に決着まで展開していくのだよね。
でも結果は、屍累々、スミスの一人勝ち。

フェリーナの一件で、ボロボロになったスミスが、それまで見て見ぬフリの保安官と宿屋の主人に助けられ、静養しようという矢先、ドイルは一気に、ストロッジ一味を総攻撃して、全滅させてしまう。
で、ドイルと決着をつけなければならなくなったスミスは、痛む身体をおして、一騎打ちの現場に乗り出す。
最後の撃ち合いは、それまでのようなたくさんの相手を秒殺するのではなく、スミス対ドイル、またはスミス対ドイルの右腕ヒッキー(クリストファー・ウォーケン)となるのだけど、
1対1の対決も、イイね。
緊張感がなんとも言えないよ。
それこそリボルバーの早撃ち、背中合わせに30歩進んだら同時に抜いて撃つ、みたいなやつじゃないけど、振り向きざまにドンと撃つのは、それらしくて良かったよ。

いまいち、どうものめり込めなかったのは、スミスのキャラクターの、ウラハラな部分かな。
結局、金の為の計画が、段々とスミスの情の部分が見えてくるようになるのだけど、それが弱い。
というか、最初、もの凄い冷静で、淡白なスミスのキャラが、少しずつ女に情が移ってとか、悪の大掃除とまではいかなくても、なんとなく問題解決をしちゃうのかなぁとか、後に引けなくなった感じというか、この抗争に自ら巻き込まれていっているような感覚がなければオカシイのだけど、それが弱いのよ。
どうしてスミスは、そこまでして女を逃がしたのか、とか、ケガしてそのまま逃げちゃえばいいのに、決着をつける為に街に残っていたのか、といった部分が、あんまり見えてこないのよ。
理由が見えてこないの。
もう少し、人情味があるところが見え隠れしていたら、納得できたのかもしれないけど、ちらっちらっとでも洩れてくるような温かみみたいのが、残念ながらあまり見えなかったのだな。
金大好きな冷酷人間が、いきなり女の為に身体をはったら、ちょっと納得できないでしょう。
そういう事よ。

本家「用心棒」と比べても仕方ないけど、どの道、未見だから比べられないのだけど、多分本家は、そういう部分が、クリアされていたのではないかな。
今度、機会があったら、一度本家も見てみたいと思うのだけどね。

ブルース・ウィリスものとしては、正統派の硬派なヒーローより、やはり一度は人生落ちぶれた、もしくは究極の巻き込まれキャラ、もしくはヒーローにならざるを得なかったキャラ、そういう方が面白いのかもしれないと思ったよ。
あの顔に、西部の荒野が馴染まなかったのかなぁ・・・
見終わって、あまりガツンとしたものが残らなかったのが、残念だわ。
私自身、ちょっと期待して見ちゃったのかな、ね。
ブルース・ウィリスが演じるのなら、もう少しお茶目で、コミカルさがプラスされてたら、ガツンとくるものになったのかなぁ。
分からんけど。
ま、あともう一歩が欲しかったよなぁ、といったところ。

ラストマン・スタンディング

ラストマン・スタンディング

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2003/05/21
  • メディア: DVD


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