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弾、曲げる 【ウォンテッド】 [映画日記<2008年>]

「ウォンテッド」を見たよ!

ウェズリー(ジェームズ・マカヴォイ)はさえないサラリーマン。
ボスに怒られ、恋人は友人に寝取られ、貯金はなし。
そんな毎日に嫌気がさし、何もかもどうでもよくなっていた時。
いつものドラッグストアーで、ウェズリーは一人の女性に会う。
その女性にあった途端、ウェズリーは銃で狙撃され、命からがら逃げ出す。
何故か応戦するその女性に助けられ、ウェズリーはとある紡績工場にたどり着く。
そこは、1000年前より脈々と受けつがれてきた“フラタニティ”という暗殺集団の本拠地。
そのリーダーであるスローン(モーガン・フリーマン)が言うには、
ウェズリーはそこの優秀な暗殺者であった男の息子。
その父が殺され、彼もまた命を狙われている。
クロス(トーマス・クレッチマン)という男が組織を裏切り、メンバーをひとりひとり殺している。
退屈な日常から逃れる為、父の復讐の為、スローンはウェズリーに仲間になるよう促す。
彼もまた、父から、暗殺者としての能力を受け継いでいるのだ。
迷った挙句、ウェズリーは、ボスに悪態をつき、友人を殴り倒し、フラタニティの一員となる事を選ぶ。
その日から、ドラッグストアーに現れた女性フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)に師事し、暗殺者になるべく、厳しい訓練が始まった。
そして、暗殺者として初の仕事を追えたウェズリーに、クロスへの復讐の糸口が見つかる。
果たして、ウェズリーの復讐は、一体どんな結末を迎えるのだろうか・・・

1ヶ月以上ぶりの、映画。
公開終了前に行けて良かった。

しっょぱなから、見せてくれます。
SF映画ばりの、ありえない動き。
「マトリックス」の親戚かと思ったよ。
ウェズリーの父親と思われる男が、オープニングに狙撃され、その敵を一瞬で殺すが、何キロも離れた別の狙撃手に殺やれるまでのシーンで、この映画の特注が、ほとんど分かるようになっている。
人間の身体能力をはるかに超えた動き。
そして、曲がる弾。
弾を曲げたのは、この映画が始めてじゃないかな。
気持ちいいほど、人間の脳髄が飛び散る。

一方で、ウェズリーの情けなさ加減も、かなりのもの。
演じているジェームズ・マカヴォイは、正直、こっちのさえないサラリーマンの方が、めちゃくちゃ似合ってた。
まなじりが下がっているから、そう見えるのかな。
この情けなさがあるから、この後、特訓を受けた後の彼が、暗殺者らしく、カッコ良く見えるってもんなのだけどね。

その特訓が、情け容赦ない訓練で、ちょっと驚き。
何の準備もない人間が、いきなりあんだけ殴られたら、死んじゃう気もするんだけど。
そのいい訳じゃないけど、脅威の回復風呂は、便利だと思った。
仙豆みたいなもんだね。

弾を曲げる訓練で、どんなアドバイスがあるのかと思ったら、本能に従え、ですか。
ワザじゃないのかと思ったら、意外にそうでもなく、回転をつけるように撃つんだね。
ま、現実では、それだけで弾が曲がる訳はないけれど、なんとな~く、納得させられちゃったところが怖い。

ウェズリーを鍛えるのが、アンジェリーナ・ジョリーが演じるフォックス。
この役は、彼女の為にあるようなものだわね。
強くて、セクシーで、そして悲しみを背負っている。
ちょっと、彼女なら、本当に弾を曲げている気がしてくるから、もっと怖い。

モーガン・フリーマン自体に威厳があるから、組織のリーダーであるスローンに威厳があって、実に良い。
織物から次の標的の名前を導き出す、なんて方法も、よく考えたな、と。
弾を曲げたり、織物がメッセージだったり、アイディアにひねりがあって、ともすると世にたくさんあるB級アクション映画が終わってしまいかねないところを、上手くフォローしている。
どこかマンガちっくな設定だけど、
人ができる能力に忠実にアクションを描きたいなら、ジャッキーやマット・デイモンをつれてくれば良いし、
どうせありえない動きを見せてくれるなら、とことん、ありえない世界を追求してくれればいい。
この「ウォンテッド」みたいにね。

ウェズリーが立派な暗殺者として、組織の一員となった後、復讐の話になるのだけど、
さ、いよいよって時に、この作品はあるどんでん返しが用意されている。
父親だと思っていた男が、実は父親ではなく、
復讐の相手だと思っていたクロスが、実はウェズリーを守る為に近づいてきていた事。
スローンの真の目的は、ウェズリーともども、クロスを殺す事であり、
何故クロスを始末したいかと言えば、彼が、スローンがやっている“裏切り”に気づいてしまったから。
スローンは、次の標的に自分の名前が出た時から、標的を自分の意思で勝手に決め、それを部下に実行させていた。
身を守る為に。
そして、クロスは、その事に気づいていた。
全てが“逆”だった訳だ。
ウェズリーは、すっかりと、騙されていた。
そして、出た。
あれだ、「STAR WARS」。
「I am your father.」
こんなベタでくるとは思わなかった。
クロスは、実はウェズリーの、本当の父親。
彼は、自分の息子には、暗殺者にはなって欲しくなく、なんとは普通の生活を送ってくれるよう、彼を見守っていただけ。
フォックスがウェズリーに近づいたのを知ったから、彼の前に銃を持って現れたまで。
なんら、ウェズリーを傷つけるものではなかった。
そうして、ウェズリーは、真実に気づく。

うーん・・・
この「I am your father.」はあまりにベタすぎて、正直、どうしたものかと思ったよ。
それまでは、このブッ飛んだ世界観を、楽しんでいたのよ。
アンジーもカッコイイし、ジェームズ・マカヴォイもだんだんサマになってきて、カッコ良く見えてきたところ。
そしたら、これだ。
渓谷の鉄橋から落ちる列車の中、転落しそうなウェズリーを助ける為に手を取ったクロスが・・・
「I am your father.」
確かに、今思えば、クロスは仲間を次々惨殺している裏切り者、にしては、優しすぎる印象だったんだ。
さぁ、何を信じる?
ウェズリー君?
な、展開。

自分の命を脅かすクロスを殺す為とはいえ、ウェズリーという一人の暗殺者を育て上げてしまった事は、スローンにとってマイナスではなかったのかな。
他に方法が、本当になかったのか。
これ、引っかかったところ。
いちいちツッコまなくていいところかもしけないけど、気になってね。

フォックスの最期は、ステキでしたね。ネエさん。
頭蓋骨破壊しながら、あの1周は、まぁ、夢みたいな話だけど。
なくとなくウェズリーとフォックスが上手くいくんじゃないかって思っていたから、なんだかもったいない気がしたわ。
最強のカップルになれたのにね。

最後、ウェズリーは、スローンを仕留めて、復讐も終え、立派な暗殺者になれたけど、どこかでどんでん返しなしで、ウェズリーが組織で生き生きと人を殺している、なんて結末も、見てみたかったかも。

なんて言ってみたものの、結局は楽しんで見ていたよ。
車が反転して、なんて感じは、ちょっと「スピード・レーサー」ちっくではあったけど、
ひぃひぃ言っているウェズリーを横目に、余裕しゃくしゃく顔で車を縦横無尽に走らせ、カーチェイスしているフォックスは、文句なしにカッコ良かった。
スローンを仕留める為に、紡績工場に乗り込んでいったウェズリーも、その銃さばきは、やはり「マトリックス」ちっくではあったけど、カッコ良く見えたしね。
ベタな展開でも、キャラクターと、アイディアのひねりで、まだまだ面白く見せられる事が分かったわ。
違う映画で、弾を曲げようものなら、「ウォンテッド」のマネ、と言われてしまうのだろうから、これはやったもん勝ちだわ。
B級アクション好きとしては、久しぶりに映画館へ見に行って、これなら良かったんじゃないかな。
そんな方は、是非。

ジェームズ・マカヴォイが主役だよ。
決して、アンジーじゃないよ。
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うつぼ

LICCAさん、こんばんは!
この映画、公開初日に観たのですが記事に出来ぬまま。。。。。。
この手の作品は見慣れてないせいか、見事にドンデンガエシに引っ掛かりドキドキしたのですが、確かに「有り得ないじゃん」という場面は多かったかも。
あの癒しの風呂が自宅にも欲しいと本気で思いました。。(笑)

by うつぼ (2008-10-19 21:41) 

LICCA

うつぼさん、こんばんわ!
どんでん返しは、どうでしょうかね。ありがちではありますが、これはこれで見せ場もあって、良かったのかもしれませんね。
設定は、元々ぶっ飛んでいるので(笑)
あのお風呂、私も欲しいです~。でも蝋(?)まみれ・・・
by LICCA (2008-10-21 21:03) 

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