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そこそこと言う定番 【エラゴン】 [映画日記<2006年>]

「エラゴン」を見たよ!

ああ、またイギリスのファンタジーが原作かぁ・・・
などと思いつつ、結局見に行っちゃった。
「LotR」から全く影響が抜け切れていない私だけど、ブロム役のジェレミー・アイアンズ見たさがあったからかもしれないね。

遥か彼方・・・アラゲイシア帝国。
民に圧制を強要するガルバトリックス王(ジョン・マルコビッチ)の下、国は危うい均衡を保っていた。
叔父と従兄弟と共に、農家のせがれとして育ち、狩りが得意なエラゴン(エド・スペリーアス)は、ある日森で、青い石を手に入れる。
エラゴンが石だと思っていたものは、やがて割れ、そこからドラゴンが孵る。
彼女の名はサフィラ。
だが、ドラゴンの誕生は、エラゴンだけの秘密ではいられなかった。
何故かそれを知ったガルバトリッマス王の刺客が、エラゴンの命を狙う。
巻き添えで叔父を殺されたエラゴンは、村の変わり者ブロム(ジェレミー・アイアンズ)に導かれるまま、サフィラと共にガルバトリックス王に反旗を翻す事になる。
目指すは反乱軍ヴァーデンの隠れ里。
エラゴンは、無事にヴァーデンの集う里へたどり着けるのか。
そして時々夢に現れる美女アーリア(シエンナ・ギロリー)は誰なのか。
エラゴンを導くブロムは何者なのか。
サフィラとエラゴンの運命は。
今、壮大な冒険が始まる・・・

イギリスのファンタジー3部作。
選ばれし者にドラゴン。
剣に魔法。
あぁ、またか・・・と思ったのは、きっと私だけではないはず。
イギリスのファンタジーは、何故か共通に登場するキャラクターがいるところに、歴史を感じる。
人間とドワーフとエルフ。
ゴブリンやトロルなんかの怪物もでてくる。
「ロード・オブ・ザ・リング」、「ハリー・ポッター」、「エラゴン」もしかり。
全て同じじゃないけど、同じ匂いがするというか、剣とか魔法の類もそうだけど、似ているのは確かだよ。
選ばれし者(Chosen one)といえば、「STAR WARS」のアナキン・スカイウォーカーが有名だけど、イギリスだけじゃなく、アメリカや日本でも、ある日突然、あなたは選ばれし者です、悪と戦う使命があるのです、さぁ、旅に出なさい。
なんて物語は、あるよね。
これって、以外と世界の共通認識として、人の憧れというか、ヒーロー像としての定番なのかもしれないね。

で、今作の主人公、選ばれし者のエラゴンは、農家のせがれの17歳。
それこそ、何にも知らない若者が、ある日突然、悪と戦う使命の為、旅に出なさいという訳だ。
この場合は、彼を選んだのは、ドラゴン自身で、ドラゴンが自ら、乗り手であるドラゴンライダーを選んだという設定。

立ち向かう敵は、強ければ強いほど、物語が面白くなるなるのだろうけど、
今作も例にもれず、敵は王と、その軍、そして配下の怪物達。
そんな強敵に、何にも知らない農家のせがれが立ち向かうには、やはり協力者が必要で、
それが何故の美女アーリアだったり、ブロムだったりする訳だね。
最近は、マスターという言葉で通じるけど、
これは非常に「STAR WARS」影響が強くて、主人公を導き、鍛える年配者が必ずいて、
そうじゃないと、何も知らない主人公が、すでに力も魔力も持っている敵と戦うには、あまりにも弱いのと、同等に戦えるだけの知識と力が必要で、それがないと、ストーリーやキャラクターにリアリティがなくなっちゃうからね。
それを手っ取り早く行うには、皮肉な言い方をすれば、約2時間の映画の上映時間を考えてっいう事も、もちろんあるだろうけど、
とにかくマスターという導き手の存在が、一番良いという結果に、これは必然でなったのでしょうね。
「STAR WARS」なら、
オビ=ワン・ケノービのマスターは、クワイ=ガン・ジンで、
アナキン・スカイウォーカー(ダース・ベイダー)のマスターは、オビ=ワン・ケノービで、
ルーク・スカイウォーカーのマスターもまた、オビ=ワン・ケノービだ。
「キングダム・オブ・ヘブン」なら、
バリアンのマスターは、ゴッドフリー。
「バットマン・ビギンズ」なら
ブルース・ウェインのマスターは、ヘンリー・デュカード。
「ロード・オブ・ザ・リング」なら、
フロド・バギンズのマスター、この作品はマスターではないけど、同じ立場の人物として、ガンダルフがいる。
ある雑誌で書かれていて、ものすごく納得しちゃったんだけど、マスター役には、イギリス人が多いんだって。
イアン・マッケラン(ガンダルフ)、アレック・ギネス(オビ=ワン)、ユアン・マクレガー(オビ=ワン)、ジェレミー・アイアンズ(ブロム)、
リーアム・ニーソン(クワイ=ガン、ゴッドフリー、デュカード)なんかは永遠のマスターだよ。
しかも、ほとんどの場合、志半ばで倒れるあたりも共通していて、これはこれで、主人公が成長するのに必要不可欠で、乗り越えなければならない障害なんだけど、マスターの死は、悲しいよね。

以外と勧善懲悪ちっくなのも、共通項かな。
悪役が悪役らしくて、分かりやすい。
権力を求めて、力でねじ伏せるあたり、悪役の共通理念だったりするんたけど、
見た目でも悪役って分かりやすくていいね。
イメージカラーは“黒”と決まっていて、
怪物達は気味が悪いし、ガルバトリックス王にしても、腹心のダーザにしても、おどろおどろしい恰好や、鋭い眼光で睨まれた日にゃ、目覚めが悪そうだ。

「LotR」も「ナルニア国物語」も、「エラゴン」も、冒険ファンタジーは、美しい自然の中で進む物語なので、これは嬉しい特徴だよ。
前2者はニュージーランドの自然を満喫できたし、「エラゴン」の撮影が何処で行われたか、探せなかったので分からなかったのだけど、本当にスクリーンに映し出される森や空は、美しい。
どうやってロケハンしたのか感動するような、山の細い尾根を、馬で進んだり、特に今作は、ドラゴンのサフィラが自由に空を飛び回るし、またサフィラに乗ったエラゴンの視線でも空を飛ぶから、かなりのスピード感を持って、自然が見れるのは、二重に良かったよ。
今はもう、視覚効果の技術が、進みまくっているから、実写の映像と、手を入れた映像の違いも素人には分からんし、しかも「LotR」のWETA社と、「STAR WARS」のL&M社が作っているのだから、なんだか安心だよ。

ドラゴンももちろん、フルCGだけど、サフィラのイメージが、想像とちょっと違っていたな。
メスなのを知らなかったのだけど、すごく優しい顔をしてるんだよね。
母のような視線で、エラゴンを見ているしね。
身体も、もっとゴツゴツしているのかと思ったら、そうでもなくて、より生物ぽく爬虫類とか恐竜に近いって言ったらいいのかな。
動きや表情なんかは、もうさすがとしか言いようがないけど、空を飛ぶドラゴンもまた、美しかったよ。
大地に影がさすシルエットも、いい効果だったと思う。
メスだけあって、声が、エラゴンの心に聞こえる声だけど、かなり女性的で、これもどちらかというと母みたいなのかな。
エラゴンには、最初から母親の存在はないのだけど、家族は叔父と従兄弟だけでね。
母の不在を埋める存在でもあるのかな、サフィラは。
ドラゴンとドラゴンライダーは、特別な信頼関係にあるようだし。
ドラゴンが死んでも、ライダーは死なないけど、ライダーが死んだら、ドラゴンも死んでしまうらしい。
かつてドラゴンライダーだったブロムは、ドラゴンをなくしたライダーは死んだも同然、そんなようなセリフがあった気がする。

エラゴン自身の成長物語とすると、
これはちょっと軽いというか、弱いと思う。
「ナルニア国物語」で違和感があった、いわゆる主人公が、ほとんど何の修行もしていないのに、選ばれてすぐ、強くなったり、剣が使えたりする場合があるけど、
エラゴンは、すぐには強くならないけど、魔法はすぐに使えたね。
ま、これは、元から才能があった訳だから、それほどの違和感はないけど、強くなっていく過程は、あっさり気味かな。
最初はブロムがめちゃくちゃ助けているけど、ブロムも案外早めにお亡くなりになるし、しかもエラゴンをかばってと言う定番でね。
エルフのアーリアは、そういう面では助けにはなってないし、ラストで対決したガルバトリックス王の腹心ダーザとの戦いは、やはりあっさり勝てたなぁ、という印象が残ったな。
エラゴンが、どうして自分が選ばれたのか、納得するというか、受け入れる瞬間とか、エピソード的なものがあってしかりなのだけど、それもちと分かりづらかったのは、すこし残念だわ。
「LotR」と比較するのは、本当に申し訳ないと、毎回思うのだけど、ま、同じジャンルという事で、諦めてもらうとして。
「LotR」のあの重厚感は、なかなかそれ以降の作品では、まだ出せないでいるよね。
「エラゴン」も微妙な軽さから抜け出せなかったし。
「LotR」は、主人公のフロドが、決して強くならなかったって事も、関係しているのかも。
心はとてつもなく強かったフロドだけど、戦闘という意味では、全くの戦力外だもんね。
だから違和感がないし、他のキャラクターは、元々戦闘能力があったから、強くてもそれほど変な気はしなかったんだよね。
あの重厚感は、どうやって出したんだろう。
返ってその方が、知りたいかも。
CG技術は今の方が良いだろうし、小道具や衣装に、それほど差があるとは思えない。
演出や脚本なのかなぁ。
キャストだって、そうそう変わるもんじゃないもんね。
ファンタジー界の課題は、多分そういうところにあるのかな。
みんな分かっているんだろうけど、「LotR」の壁は、まだまだ厚いね。

課題、ではないかもしれないけど、
ファンタジーというのは、独特の言葉とか名前が多くて、それだけでもとっつきにくいのは、どうにもならないんだよねぇ。
国の名前くらいならどうにでもなるけど、
人間ですらないキャラや、組織やら魔法やらが、当たり前にばんばんでてくるから、多少の予備知識がないと、?になりかねない。
よほどの人じゃないと、見に行く前に予習なんてしないだろうし、逆に、何も知らないで見に行くのがいいという人いる。
説明的なセリフが多いのは、見ていて楽しくないし、これって難しいよね。
子供向けか大人向けかってのも、また違うだろうし、「エラゴン」は上映時間が2時間弱だったから、その点では、省きすぎていないか、心配ではあったんだ。
上手くまとめたなぁ、という感想だったけど、その分、軽さが残ったのと、あっさり感があったのだろうね。
主要な登場人物達は、そこそこの活躍で、キャラが見えてきていたけど、
それ以外の、特にヴァーデンの組織としての立場や、ヴァーデンにいる人物達は、まだまだ存在があやふやで、弱かったな。
エルフの役割もまだ見えてこないし、サブキャラのマータグもまだ何者って感じだし、あぁ、そうやって思い返してみると、弱い部分が、まだまだあるって、気付くね。
でも、子供が見るには、2時間以上の上映時間は長いよね。
「LotR」は、非常に長い作品だけど、完全に大人向けのテイストに仕上がっていたからなぁ。

これはオマケだけど、
サフィラとエラゴンが並んでいるところを、横から撮っているシーンがあったのだけど、
これがちょっと、宮崎吾朗氏の「ゲド戦記」の、イメージ画と似ているなぁ、と思ったんだ。
それ以外にも、ガルバトリックス王の下、見た目の黒いアーガルっいう敵が、土くれの中で、鉄を精製して武器を作っているシーンなんかは、「LotR」でサルマンが、ウルクハイ達に武器を作らせているアイゼンガルドのシーンと、ほとんどおんなじだと思ったんだ。
必要なシーンだし、武器となれば、製鉄シーンはあるだろうし、ダメではないけど、あぁあれと同じだぁ、って思われるのは、本当なら心外だろうね。作り手からしてみればね。
どうも、悪役イコール製鉄っていうイメージが、できちゃったよ。

今作、3部作の1作目。
という事で、ひとまずエラゴンがドラゴンライダーとして、反乱軍ヴァーデンの仲間として、活躍したところで、お開きとなったけど、
ガルバトリックス王は、腹心を失くした訳だし、ドラゴンライダーの復活は、自分の歯向かう敵が出来たのだから、王の活躍は、これからでしょう。
せっかく怪優ジョン・マルコビッチが演じているのだから、にっくき敵役を、嬉々として演じて欲しい。
エラゴン役のエド君の、童顔具合がなんとも気になるところだけど、後の2作、良い作品となれば、いいなぁ。
ブロムから譲り受けた剣も、謎のままだし、サフィラとエラゴンの関係も、これからって感じだし、何よりエラゴン自身が、剣も魔法も、もっともっと強くならないと、ガルバトリックス王と、同等なキャラクターにならないでしょうしね。
対決する時に、力に差がありすぎる感じがしたら、台無しだもん。
是非、また見に行きたくなる作品を、作って欲しいよ。


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コメント 2

non_0101

こんにちは。
最近、どうも余裕が無くて出不精(?)になっていたので
遅ればせながらですけど、おじゃまします!
年内に観に行けたのですね。
> 「LotR」の壁は、まだまだ厚いね。
「LotR」の怨念のこもったようなダークな世界観は圧倒的ですね。
> どうも、悪役イコール製鉄っていうイメージが、できちゃったよ。
これ、niceです~!
by non_0101 (2007-01-28 09:31) 

Catcat44

あ、お名前が少し長くなりましたね。
non_0101さん、こんばんわ!
私も記事を読ませて頂いている割に、コメント少な目なので・・・
主人公側も、剣や鎧を持っているので、製鉄や鍛冶しているはずなんですけど、必ず映像になるのは、敵役な気がします。
あ、「LotR」で、エルフが剣を鍛えるシーンはありましたけどね。
「エラゴン」は、次作気になりますね。
by Catcat44 (2007-01-28 17:15) 

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