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はちゃめちゃを楽しむ 【スターダスト】 [映画日記<2007年>]

「スターダスト」を見たよ!

ウォール村。
外の世界と壁で隔たれたその村に住む青年トリスタン(チャーリー・コックス)には、出生の秘密があった。
18年前、トリスタンの父ダンスタンは、掟を破り壁を越え、越えた先にある魔法の国で、一人の女性と結ばれていた。
女は魔女の奴隷で、そこから出て行く事も叶わず、やがて村に戻ったダンスタンの元に、子供だけが届けられたのだ。
それが、トリスタンである。
トリスタンは村に住むヴィクトリア(シエナ・ミラー)に夢中だったが、彼女には彼氏がおり、気を引きたい一心で、偶然空に光った流れ星を、ヴィクトリアの為に持って帰ってくると約束する。
母の贈り物である“バビロンのロウソク”で、流れ星までひとっ飛びでたどり着いたトリスタンが見たものは、ルビーの首飾りを提げた、ブロンドの女性、イヴェイン(クレア・デインズ)だった。
流れ星であるイヴェインを連れて帰ろうとするトリスタンであったが、イヴェインは全くその気なし。
その頃、魔法の国では、王(ピーター・オーツゥール)の死期が迫っていた。
末の妹は行方知らずだったが、7人いる息子は、王の座を争い、4人まで人数を減らしていた。
王は、王位継承者は、このルビーを手に入れなければならないとの言葉を残し、ルビーを空高く放り投げた途端、死亡。
3人まで減っていた息子達は、ルビーを求めて、あの手この手。
その脇で、死んだ4人の兄弟たちは、亡霊のまま、事の成り行きを見守っている。
さらに別の場所で、魔女の3姉妹は、400年ぶりに落ちた流れ星を見つけ、息巻いていた。
すでに年を取りすぎていた3人には、流れ星の心臓を食べれば、また若さを取り戻す事ができるからだ。
3人の代表として、ラミア(ミッシェル・ファイファー)が流れ星を求め、屋敷を出発する。
トリスタンが贈り物の為に、王子たちが王位継承の為に、魔女の姉妹が若さの為に、
それぞれの思惑が錯綜しながら、流れ星のイヴェインを手に入れる攻防戦が始まる。
果たして、イヴェインは誰の手に落ちるのか。
そして、トリスタンとヴィクトリアは、王位継承者は、3姉妹は、どうなるのだろうか・・・!

“なんじゃこりゃ~!”
これが見終わった後の、素直な感想だろうなぁ。

魔法が使えたり、空飛ぶ船が登場したり、確かに、ベタベタのファンタジーなのに、
そのテイストは、コメディにかぶれていたり、シュール且つブラックなアイロニックを気取ったり、
そうかと思えば、純愛で攻めてみたり、冒険活劇だったり・・・
“はちゃめちゃ”、これが一番しっくりくる。
“はちゃめちゃ”って言葉、久しぶりに使ったわ。

全体を通して一貫している事は、全ておいて、“ゆる~い”事。

まず、ツッコミどころが、満載すぎ。
村には、壁を越えてはいけないって掟があり、誰もその先を知らないのに、
ダンスタンもトリスタンも、壁の先の世界に、すごく無頓着。
初めて見る魔法にも驚かないし、何が起きても、不思議がらない。
これは、明らかにオカシイ。
村は極普通の田舎で、ロンドンやパリに憧れているのなら、魔法の世界は、びっくり仰天する世界でしょう。
普通ならね。
それがするっとスルー。
ダジャレを言ってる場合じゃないけど、実際そうなのよ。

次に、流れ星がブロンドの女性なのに、トリスタンも、他の誰も、それを決して疑わない事。
流れ星って、星じゃん?
間違っても、人間の女性じゃないよね?
私、間違った事言ってないよね?

どこまでが前提として受け入れれば良いか、迷っていたのだけど、
そのうち、そんな事に迷う事も、どうでも良くなってきたよ。

つまりはさ、前提や暗黙のルールなんかを、ちゃんと守って作っている純正品じゃないって事。
そうでしょう。
ある意味、全てが飛び道具。
何でもアリな世界だった訳だ。
で、それを受け入れて、納得してしまうと、
今度は、この“ゆるさ”が、面白くなってきちゃった。

初めて見ても、魔法が当り前、いいじゃない。
流れ星が女性でも、OK。
単純に、イヴェインを巡って、トリスタン、王子達、3姉妹の攻防戦を楽しめば、
自然と、イヴェインがトリスタンに惹かれていて、
その愛によって、イヴェインが星としての輝きを取り戻し、
そして、おバカだったトリスタンは、イヴェインの真実の愛を受け入れ、
二人はめでたく結ばれると同時に、
ルビーを手に入れたトリスタンは、
実は奴隷だった母は、亡くなった王の末の娘で、
正式な王家の血を引くトリスタンが、魔法の国の王になり、
万事、めでたしめでたし。
な、訳よ。

実際、こういう解釈で、いいと思うのだけど。
どうなのかしら。
愛や勇気を語っても、
壮大な音楽にのせ、雄大な自然の中で、
魔法の世界の運命を紡いでも、
結局は、“ゆるさ”にたどり着くのだから。
設定の矛盾を追及していたら、きりがないし、
逆にそれを楽しんじゃえば、それなりに楽しいんだものね。
これこそ、正当に批評する方が、面白くないんじゃないかな。
“はちゃめちゃ”具合いが楽しめたら、こっちのもんよ、てな感じで、いいんじゃないかなぁ。

ま、こんな具合の作品なのだけど、
アイルランドやアイスランドで撮影した、雄大に自然は、本当に美しかったよ。
ロケハンがすごい。
見渡す限り緑の大地、遠くには険しい雪山、空も湖も森も、最高に美しかった。
これが、正統派のファンタジーだったら、荘厳な空気を醸し出すのでしょうね。
もったいないんだか、贅沢なのか、分からんわ。

贅沢といえば、
ラストシーンの、トリスタンの戴冠式シーンの壮大さも、贅沢だったよ。
トリスタンに威厳がないからなのだけど、
借りてきたネコみたいなトリスタンが、最後までオカシかったわ。

ロバート・デ・ニーロの、海賊船の船長も、これも微妙な役柄だったな。
海賊船自体は、結構カッコイイのよ。
飛行船みたいに大きなバルーンにぶら下がった船は空を飛んで、
でも船体は本当に海に浮かんだ海賊船のようだし。
クルーも荒くれ者というか、薄汚い感じが、いい雰囲気で。
でも、デ・ニーロ演じるキャプテンは、女装のオカマ趣味。
それをクルーには隠していて、
しかも血を流さず、はったりで最強伝説を作り出した、それはそれですごいキャプテンなの。
ある意味、作品にはぴったりなのだろうね。
女性もののガードル&コルセット姿で、ジュリ扇持って、フレンチ・カンカンを踊る海賊船の船長って、どうよ、って感じ~。

3姉妹の魔女ラミアを演じたミッシェル・ファイファーもすごかったよ。
最近、悪役づいているのは、何故かしらん。
ともかく、あの皺くちゃメイクもすごいし、怪女っぷりが、アッパレアッパレ!

見る前の予想は、簡単に裏切られたけど、
これを楽しめるって事は、いい事なのかも。
笑って見ていられる余裕というか、何と言うか。
好きな人は好きなのだろうけど、中には許せない人もいそうだからね。
私は、限りなく前者に近いという事で。
どうでしょうか。
ねぇ。


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コメント 4

うつぼ

こんばんは!
この映画、映画館で予告編を観て、デ・ニーロがまた弾けた役を(笑)と思って興味があったのですが、ある意味すごそうですね、。深く考えずに見られるなら観てみようかな、、と思ってますが。。。。
by うつぼ (2007-11-16 00:37) 

Catcat44

うつぼさん、こんばんわ!
デ・ニーロのコルセット&下着姿は、キョーレツですよ~(笑)
あぁ、深く考えなくとも、楽しめる内容だと思います。
ある意味、微笑ましいですし。
見終わった後、ちょっと変な気分になれるので、時間があれば、是非!
もし、見れましたら、感想聞きたいです~。
by Catcat44 (2007-11-16 01:01) 

non_0101

こんにちは!
“はちゃめちゃ”楽しかったです☆
こんなに楽しいならファミリーでも楽しめそうなのに、宣伝間違えてますね~
幽霊の王子たちも可笑しかったですけど
私はおちゃめなロバート・デ・ニーロがツボでした(^^)
by non_0101 (2007-11-18 10:06) 

Catcat44

nonさん、こんちにわ!
そうですね、多少エグい表現もありましたが、このノリなら、宣伝間違ってますね。
ロバート・デ・ニーロって、こんなキャラでいいの?と、真剣に思いました。カンカンを踊っている姿なんて・・・
それでも手下達に慕われているなんて、いいキャラだなぁ~、と。
主役を食う勢いでしたね。
by Catcat44 (2007-11-18 14:12) 

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