SSブログ
映画日記<2006年> ブログトップ
前の10件 | 次の10件

美しさのあいだに 【ブラック・ダリア】 [映画日記<2006年>]

「ブラック・ダリア」を見たよ!

まだ公開中、ネタバレしてますから、注意ですよ。

1947年1月
エリザベス・ショートという女性の惨殺死体が発見される。
L.Aで実際に起きたこの事件自体は未解決だが、
それを元にジェイムズ・エルロイが書いた小説「ブラック・ダリア」
この作品は、その小説を、ブライアン・デ・パルマ監督が映画化したもの。

ロス市警の警官でボクサーのドワイト・“バッキー”・ブライカート(ジョシュ・ハートネット)は、同じく警官でボクサーのリー・ブランチャード(アーロン・エッカート)と、試合をする。
試合自体は、八百長で、バッキーは父親を老人ホームに入れる金を手に入れる為に、KO負けが決まっていた。
その試合がキッカケで、リーに誘われるまま、バッキーは特捜課の一員になる。
リーには、同棲中の恋人、ケイ・レイク(スカーレット・ヨハンソン)がいた。
ケイは、かつてリーが逮捕、刑務所送りにした銀行強盗犯のデウィットの娼婦だった女。
やがてバッキーを交えて、3人での楽しい時間が過ぎる。
ある日、手配中の極悪犯ナッシュの張り込みをしていた二人は、銃撃戦に巻き込まれ、その際、情報屋のフィッチが撃たれて死んだ。
その時偶然、そのすぐ側で、エリザベス・ショートという女性の惨殺死体が発見されていた。
エリザベスは、身体を真っ二つに切断され、口は耳まで裂かれて、内臓が抜かれ、全裸で放置されていたのだった。
その死体を見たリーの態度は一変する。
リーは、上手く自分とバッキーを殺人課へ異動させると、エリドベス・ショート殺害事件を解決しようと、執拗な執着を見せ、昼夜かまわず捜査をするようになっていた。
時々、リーに変わり、ケイの様子を見に行くバッキー。
やがて、バッキーとケイの関係も、少しずつ変わっていく。
捜査の過程で、バッキーは大富豪の娘マデリン・リンスコット(ヒラリー・スワンク)という女性と出会う。
彼女は、殺されたエリザベスにそっくりだった。
だが、事件の真相は、リーの秘密と共に、バッキーの予想外の展開を見せる。
果たして、事件の真相は・・・
リーの秘密とは・・・
バッキーとケイの関係は・・・

とにかく、人物関係が複雑で、上手く書ききれないよ。
ちらっと登場しただけかと思えば、後でポイントで登場したりするから、よーく見ていても、誰だっけ?てな事になりかねない。
バッキーは、彼は周りに振り回されて、事件の真相を解いていくストーリーテラーの役割だね。
彼に秘密はないよ。
後の重要人物は、何かしら秘密を持っているのだから、始末が悪い。

表面上のつながりと言うと、
リーはデウィットを刑務所に送った後、ケイを匿う様に大切にしている。
だが、ナッシュ逮捕をそっちのけにしてまで、リーはエリザベスの死体に執着を持つようになり、バッキーを困らせる。
それも、昔、リーの妹が、お蔵入り事件で殺されており、そのせいだと分かる。
事件を追うバッキーは、エリザベスと同居していたローナが、レズビアンだと知ると、レズバーを捜査していた折り、マデリンと出会う。
彼女は最初はただの参考人だったけど、マデリンがバッキーを誘うと、どこかマデリンは怪しい雰囲気を醸し出してくる。
でも、事件そのものと、マデリンがどう絡んでいるのか、それはいまいち分からないまま。
そのうち、そっちのけだったナッシュが、殺人事件を起こして、射殺される。
バッキーが悔やんでいる間も、リーはエリザベスにご執心で、バッキーはマデリンと段々深い仲になっていく。
今度は、ケイがそっちのけ。
でも、デウィットが出所してくると、リーはデウィットの元に現れ、バッキーの見ている前で、デウィットもリーも殺されてしまう。
ますます訳の分からなくなったバッキーだけど、次第に彼は、事件の真相に迫っていく。

次に、本当のところ。
リーは、デウィットを刑務所送りにすると、ケイを匿い、デウィットの金を横取り。
自宅に隠していた。
そのネタをつかんで、リーを強請っていたのが、情報屋のフィッチ。
ナッシュ張り込みの際の銃撃戦は、実はリーが、フィッチを殺す為の目くらまし。
リーはさらに、バッキーからマデリンの存在を知ると、彼女と彼女の家にまつわる秘密を探り出し、今度はマデリンの父、大富豪のエメット・リンスコットを強請る。
リーは、バッキーよりも先に、エリザベス・ショート殺害の犯人が、エリザベスに懸想したエメットの友人と、マデリンの母との仕業であるとつかんでいた。
だが、エルットを強請ったが為に、リーは殺される。
それは出所してきたデウィットとは全く関係なく、父を強請られて怒ったマデリンの仕業。
真相をリンスコット家に突きつけに行くバッキーだが、元々薬中毒の母は自殺してしまう。
後、マデリンと対峙するバッキーは、マデリンを射殺。
リーにも裏切られ、マデリンにも裏切られ、散々、振り回されたバッキーは、事件の真相を解くと、ケイの元へ帰って行った。

映画を見た後の、いまいち良く理解できなかったモヤモヤした部分は、自宅に帰ってから、公式HPでおさらいしたら、すっきりしたわ。
主役級のバッキー、リー、ケイ、マデリン以外の人物が、分かりにくいね。
デウィット、ナッシュ、フィッチとかね。
やっぱり、予習してないと、苦しいかもね。

1947年が舞台で、その雰囲気は、すごくイイ。
バッキーのぴとーっとした髪型はアレだけど、スーツとか車とか建物とかイイよね。
ケイの服装が、めちゃくちゃ可愛いし。
全編、薄茶色っぽいフィルムが、当時の雰囲気醸し出していて、それでいて、エリザベスやマデリンの髪は真っ黒で、瞳はギラッとしていて、ケイの唇は赤々していて、色彩が目に付く部分がドキッとさせる感じだったよ。

R-15指定で、話題にもなっていたジョシュのからみのシーンがそうさせたのかと思っていたのだけど、それに関しては、大した事なかった。
惨殺死体の方が、Rだったのかも。
あまりどんと映す事はなかったけど、死体はかなかインパクト大。
耳まで裂けた笑い顔は、不気味だよ。
バッキーは、ケイともマデリンとも激しく絡み合うけど、映しているのは、そのほんの始めだけ。
よほど「君に読む物語」とか「マイアミ・バイス」とかの方が、そのままの行為を、どんと映してたよ。
一番官能的だったのは、エリザベスがローナと撮った、レズポルノの、ナニがナニする時のエリザベスの表情だろうな。
・・・ストレートに書きたいけど、一応、自己規制。お子様が読んでいるとマズイからね。

バッキーがストーリーテラーで進んでいくけど、なんだかとても散漫な感じがする。
秘密やら真相やらが、あっちこっち、と言っても、バッキーの手で暴かれていって、それなりにぐっとくるのだけど、的が定まらないというか、やっぱり散漫なのだよね。
登場人物が多いから、って理由でもない気がする。
リーにしても、途中、登場しない時間帯があったり、ケイとバッキーが、そこまで愛し合っていたかっていわれると、描写としては、軽かった気がする。
リーが、金の横取りや強請りたかりをするような小悪党だって言われても、どこか収まりが悪い気がするのだよなぁ。
よくよく考えると、マデリンがそこまでバッキーにこだわる理由も、いまひとつじゃないかな。

真相とは言え、エリザベス殺害の実行犯が、母親が加担していたのは分かるけど、あのキャラで犯人とは、ちょいと反則技じゃない。
服用している薬で、常に酩酊状態だし、気がフレている人物ってのはねぇ、扱いにくいっしょ。

エリザベスを演じたミア・カーシュナーもだけど、マデリンを演じたヒラリー・スワンクが、すごく美しかった。
スカーレット・ヨハンソンは、言わずもがなでしょ。
ヒラリー・スワンクは、「ミリオンダラー・ベイビー」の時に、映画は未見なのだけど、散々メディアに出ていたのを見ていて、こんなに魅惑的な雰囲気のある女優さんだとは思わなかったわ。

予習復習が非常に大事な作品かな。
雰囲気はすごくイイけど、すっきりできるかどうかは、その人次第って気がしないでもないな。
前に「シリアナ」で、人物関係がさっぱり分からなくなって、呆然とした経験があるのだけど、それに比べれば、ちゃんと分かって見ていたよ。
だから、このもやっとした感覚は、人物関係のせいじゃなくって、ストーリーの流れのせいって事だ。
雰囲気がイイだけに、今一歩な感想がおしかったよなぁ。


nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

妊婦と誘拐犯 【誘拐犯】 [映画日記<2006年>]

「誘拐犯」をレンタル&視聴。

メキシコの埃っぽい赤茶けた土と、その土色の建物を見ると、物悲しくなるのは何故だろうね。

その日暮らしのアウトロー、ロングボー(ベニチオ・デル・トロ)とパーカー(ライアン・フィリップ)。
金に困った二人は、精液提供に訪れた病院で、代理母の妊婦ロビン(ジュリエット・ルイス)の存在を知り、誘拐を企てる。
護衛を上手く出し抜き、ロビンの誘拐に成功する二人だったが、実のところ、ロビンのお腹の子の、本当の両親を知らなかったのだ。
身代金も要求できない二人。
だが、ロビンの主治医のペインター(ディラン・カスマン)と接触すると、彼の口から、子供の本当の両親は、チダックという裏社会を牛耳る、組織の一員だという事が分かる。
1500万ドルを要求する二人。
もちろん黙って手をこまねいているチダックではなく、金の出所がバレると危ないチダックは、護衛にロングボーとパーカーの始末を言いつける一方、一切の面倒の後始末を任されている掃除屋ジョー(ジェームズ・カーン)も動き出していた。
果たして、ロングボーとパーカーは無事、身代金を手にできるのか、ロビンとお腹の子の運命は・・・

登場人物、もれなく皆、悪人。善人なし。もしくは嘘吐き。
個人の思惑で動いている人物ばかり。
ロングボーとパーカーの二人からして、金がなくなりゃ、犯罪でも何でもかまわないという考え方。
パーカーの方が、若い分、少し臆病かな。
割り切り方が、あっさりしすぎだよね。
チダックの妻フランチェスカも、自分の立場を確立させたいが為に子供は欲しいが、妊娠はしたくないという理由で、代理母を雇ってしまうのだから、女としては酷いんじゃないかな。
しかも、護衛の一人とデキていたから、言語道断。
思わぬ大穴だったのが、ロビン。
彼女も、大胆に嘘吐きだったのだけど、お腹の子供は、実はチダック夫妻の子ではなく、自分とペインター医師の子。
しかもペインターは、チダックの実の息子。
ロビンは、代理母の報酬欲しさに嘘をついた訳だけど、彼女の存在が、ロングボーとパーカーを思う存分振り回してくれていたよね。
彼女の母性も、ロングボーとパーカーを、少し変えらたれのかな。

個人の思惑で動く人ばかりだから、敵対関係がバラバラ。
みな自分が得をしたいだけだから、事態の行く末が見えない。
それが作品の面白みでもあるのだよね。
そのくせ、邪魔なものは、バンバン撃つ。
撃って排除。
そういう人物達の中で、唯一、その時がくるまで発砲しない人物がいたよ。
チダック専属の掃除屋ジョー。
彼は、交渉が先で、撃ち殺して排除は、その次という考え方の掃除屋。
渋くて、カッコ良すぎ。
演じるジェームズ・カーンが、初老の男なのだけど、どこか眼光鋭く、抜け目がなく、油断もない。
ロングボーと一対一で話をしに来る件は、なんか男臭くて、良かったわ。

結局は、撃ち合いで収拾になるのだね。
国境のモーテルでの撃ち合いに、その後のメキシコの娼婦宿での撃ち合い。
モーテルでの撃ち合いは、ロビンが一人逃げ出そうとした騒動から、地元警察まで巻き込んで、双方撃ち合い、ロビン確保にやっきになるのだよ。
その際、ロングボーとパーカーが、遠方からの狙撃をするのだけど、着弾の後に、銃声が聞こえるのは、カッコ良かったわ。
そして、簡単に人が死ぬ。
なんとか逃れたロビンとペインター医師は、メキシコの娼婦宿で出産しなければなくなり、しかも胎盤剥離という症状を引き起こしたロビンは、その場で帝王切開となる。
そして外では、追いついてきたロングボーとパーカーが、ジョー達と撃ちあう。
とにかくバンバン撃ち合い。
一方では、出産。
生と死の対比だった訳だね。
これは、最後まで気付かなかったわ。

正直に告白すると、誰にも感情移入できなくて、困っちゃった。
登場人物の思惑はバラバラだし、しかもみんな悪人ぞろい。
悪人でも、共感できればいいのだけど、どこかいびつというか収まりが悪いというか。
一番共感できたのは、ジョーだったかも。
ジョーの恩赦だろうけど、結局殺される事はなかったロングボーとパーカー。
二人共助かったかどうかまでは分からんけど、乾いた大地に転がったまま動けない二人を見て、彼らにはこれがお似合いだよ、と思ったわ。
妊婦を利用しようなんて、まずその時点から、多分許せなかったのだと思うわ。
私がね。

この妊婦というのが、曲者だったわ。
見ていて、とても苦しかったのだけど、その理由がようやく分かったわ。
ロビンの存在だよ。
ロビンが妊婦だったって事。
しかも臨月で、出産&帝王切開を、何にもない娼婦宿でしなくちゃならなくて、非常に心細いシチュエーションが、多分苦しい原因だと思う。
撃たれたり、切られたり、スプラッタは苦手だけど、それこそ手や足が簡単に飛ぶ映画は、かなり見ているのにも関わらず、妊婦というのは、曲者だわ。
きっと私が女性で、しかも妊婦になってもおかしくない、子供の一人や二人いてもおもかしなく年齢って事で、ロビンに感情移入していた自覚はないけど、でもそういうのに似た感覚はあったのでしょうね。
出産というのは、自分一人じゃ、どうしようもないでしょう。
しかももう一つの命を預かる母親ってのは、責任があるのだし。
それを利用して、さらに危険にさらしてってのが、主人公の二人にいまいち入り込めない原因だったんじゃないかな。
そうだわ。
妊婦を労わらない二人は、罪も何もないお腹の子にまで危険にさらして。
それが原因だわ。
もうさぁ、ロビンが途中から、いたたまれなくなってくるのよね。
まず大きなお腹を抱えて、歩き方からして痛々しいの。
出産の痛みっていうか、出産シーンの妊婦の声とか聞いてると、何故か苦しくなってくる。
女性って皆そうなのかしら?
逆に、男性がどう思うのか、教えて欲しいかもね。

ラスト、ナレーションで、これはパーカーの声なのだけど、
「神は結局、願いを叶えてくれる。その声が聞こえた順で。」
というようなセリフがある。
神に聞こえた声の順番。
まず、ロビン、そしてペインター医師でしょう。
次は、実際妊娠したフランチェスカかな。
あとは、多分、聞こえてないんじゃない。
少なくとも、ロングボーとパーカーの声は、聞こえてないね。
神は気まぐれ。
いつでも、そういうものだよ。

複雑な人物同士の関係や、嘘や裏切りなんかは、上手くできていたと思う。
監督さんが、複雑では群を抜く「ユージュアル・サスペクツ」の脚本家だった人らしい。
ベニチオ・デル・トロ兄貴も、存在感は相変わらずすごいよね。この人はさ。
もう少し、ベニチオ・デル・トロ演じるロングボーに感情移入できたら、きっと良かったよね。
あと教訓。
妊婦が出てくる映画には、気をつけよう。
シチュエーションによっては、苦しくて、ストーリーに集中できなくなる場合もあるからさ。
思いっきりハッピーエンドになってくれたら、そうでもないのかな。
どうだろう。
あぁ、撃ち合いの面白さに、いまいち集中できなかったのが、ホント残念。
遠距離射撃とか、本当にカッコ良かったのにね。
銃声と着弾音がカッコイイと、撃ち合い自体がカッコ良く思えるのよ。
いまいちだった「マイアミ・バイス」の唯一良かった点は、リアリティのある銃声だったからね。
せっかく紹介して頂いた作品なのに、見てみるまで分からないとは、こういう事なのだね。
う~ん、教訓。

誘拐犯 DTSスペシャル・エディション

誘拐犯 DTSスペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2002/08/23
  • メディア: DVD


P.S
教えて頂いた作品なのに、こんな感想で、なんと言うか申し訳ないっす。
でも、これに懲りずに、また教えて下さいね。
まず見てみる。それが信条ですから。


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

へびヘビ蛇 【スネーク・フライト】 [映画日記<2006年>]

「スネーク・フライト」を見たよ!

アメリカで公開になって、大人気っちゅーニュースを見て、
あぁこれ見たいかも~って思っていたのよ。
無茶な設定がたまらんでしょう。
「Snakes On A Plane」という原題もイイ。そのまんまで。珍しく邦題も悪くないね。
ま、思いっきり寝坊したおかげで、見る予定だった作品も場所も変更で、見れたのよね(苦笑)

ハワイでモトバイクを楽しむのショーン(ネイサン・フィリップス)は、森の中で、LAの大物ギャング、エディ・キムが、検事を殺す場面を目撃する。
逃げ出すところを見つかってしまい、家までキムのギャング達が乗り込んできてショーンを殺そうとする。
が間一髪、FBIのエージェント、ネヴィル・フリン(サミュエル・L・ジャクソン)に助け出されたのだった。
フリンはキムを有罪にする為、ショーンに無事LAで証言してもらわなければならず、厳重な警備の中、ハワイを発つ。
だが、キムは何としてでも、ショーンをLAに着く前に殺してしまわなければならない。
そこでキムがとった方法は、彼らの乗る飛行機に、毒ヘビを大量に放つ、という事だった。
毒ヘビに噛まれて死ぬか、飛行機ごと落とすか。
フリン、ショーン、乗員乗客、そして毒ヘビ。
ハワイ発ロサンジェルス行き。
サウス・パシフィック121便は、フライトを開始した。
果たして、彼らの運命はいかに・・・

素晴らしく美味しくできたごった煮。
大成功した闇鍋。
そんなところかな。
こんな設定、ありえん!
としか考えられない人には、きっと面白くもなんともない作品なのかもしれないけど、
あなどるなかれ。
次から次へと起こる問題、しかも命に関わる問題を、
非常に丁寧に作っているので、決して子供だましではないよ。これは。
ヘビ問題だけでも大変なのに、それに飛行機自体の損傷問題、操縦士の問題、乗客同士の問題と、フルサービス状態でやってくる難問は、見ていて息つく間もないくらい、夢中にさせてくれるよ。
何より、フリン役のサミュエル・L・ジャクソンが、これまた終始ヒーローでいてくれるから、カッコイイし。彼、相当入れ込んでいたみたいだからね。
それに、生死に関わる事だから、自然と人間ドラマも重くなってくるし、ヘビ達はホラー映画よろしく、よく驚かせてくれたよ。

まず、登場人物達が、みな個性的でイイ。
すぐ死んでしまう役はともかく、深夜便とはいえ乗客はそこそこいるから、ストーリーにからんでくる人物は個性がなきゃ、数に埋没しちゃう恐れがあるのだよね。
でも、ご心配無用なほど、みなイイキャラだよ。
フリンはとにかく強くてヒーロー。
ショーンは、正義感のあるナイスガイ。裁判での証言は迷っていたけどね。
クレア(ジュリアナ・マーグリーズ)は、芯の強いフライトアテンダント、ヒロインらしいヒロイン。
それに、フライトアテンダントの面々、潔癖症のラッパー、そのお供のデブ兄弟、初めて二人でだけで飛行機にのった幼い兄弟、赤ちゃんをつれた女性、犬を猫可愛がりするパーティ・ガール・・・etc
みんな自分の役割を分かっているかのごとく、活躍してるよ。

そして、ヘビ問題。
いやぁ、色んな種類がいたねぇ。
撮影には、本物も使ったみたいだよ。もちろん、そういう専門家の元でね。
即死するほどの毒ヘビから、数時間かかる種類や、翌日には治ってしまうくらいの種類までいろいろ。
しかも、全世界的に登場しているよう。
このヘビ達、役者だよ。
ちゃんと腹うねらせて這いまわって、多分ヘビが嫌いな人は、この腹具合が気持ち悪いんじゃないのかな。
そのヘビの特徴をしっかり出して、そっと近づいてガブッとやったり、毒牙から毒を発射ひっかけたり、コブラは鎌首持ち上げていたし、天井からぼとぼとと落ちてくる様は、ヘビが嫌いじゃなくても、ぞぞっとしたよ。
カメラ目線がたまりませんよ。CGだと分かっていてもね。
それと、ヘビ目線というものを使っていて、獲物に近づくヘビ自身が見えているものを、映像化していたよ。
緑っぽい一色の、「ピッチ・ブラック」っていうヴィン・ディーゼル主演映画の映像みたいなのだけど、この例えで、何人分かってくれるかなぁ。
この映像で、以外と臨場感が増した気がするわ。
でかいニシキヘビが登場するのだけど、圧巻だよ。人を頭から一飲み、できたのかな。
何故か、ヘビ達は局部を狙って、噛み付くのだよね。
首ならともかく、目や口や股間・・・ワザとやん。

で、飛行機の損傷問題。
ヘビがあちこちケーブルをちぎってしまうのだけど、そのせいで、エンジンがいまいち調子が悪くなったり、停電したり、空気の循環ができなくなったり、こりゃ大変だね。

そのうち、パイロット二人も、ヘビに噛まれて、ノックダウン。
今度は、操縦士の問題発生。
いやぁ、たまらんでしょう。この展開は。

乗客同士の小競合いなんかも起こるのだけど、そんなの大した事ないんだって。
なんとなくみんなが協力し合っていて、なんかいい感じ。
ただ、最初のパニックの時に、一番怖いと思ったのは、人の方。
ヘビよりも、パニクッた人たちが、一斉に逃げ惑っている方が、怖い。
みな自分の事しか考えてない、基い、考えられない状況ってのは、何が起きても不思議じゃなくって、イヤだね。
人に踏みつけられて、命を落とした人もいる。でも、それを誰が責められる?
イヤなもん見たなぁ。

荒唐無稽の設定の、B級映画なのだけど、パニック映画としては、異例のフルサービスてんこ盛り。
まず、ヘビから身を守らなきゃならない。しかも撒かれたフェロモンでラリったヘビからね。
次に、パイロットを欠いた飛行機を、無事、操縦&着陸させなきゃならない。
これは、至難の業だ。
そして飛行機自身の損傷から、例えば酸欠とかから、生き延びなきゃならない。
前途多難だよなぁ。
でも、以外とすーっとやっとのけちゃったね。
着陸させるのに、操縦席に着いたのが、あのデブ兄弟の弟、しかもフライト経験があるにはあるけど、プレステ2の操縦シュミレーターだときた。
サイコーっしょ。
で、驚きのスムーズランディングなのだから、プレステ様々だよね。

この映画、感情の配分が上手いのかな。
ヘビの急襲でバッと驚かしてみたり、生々しい傷や死ぬ場面を見せてみたり、フリンの活躍でホッとさせてみたり、幼い兄弟や赤ん坊の話で胸をきゅんとさせてみたり、時に男同士の友情、時に男女の心と、これもてんこ盛りなんだよね。
恐怖できゅっと締める場面と、ホッとさせて緩める場面と、それを上手くまとめているから、見やすいんだな。
編集とか脚本が上手いのだろうね。

ラストに向けて、突如キレたフリンことサミュエル・L・ジャクソンには、笑わせてもらったよ。
それに、こんなに頼もしく思えたのは、他にないかもね。
機体に穴開けて、風圧でヘビを海に放っちゃうのだから、考える事が大雑把でいいよ。
あの後、海に落ちた毒ヘビ達は、回収してもらえたのかなぁ。
巨大なニシキヘビがぴゅーっとお空に消えていくのは、なんか気持ち良かった。

ほぼずっと、飛行機内での阿鼻叫喚の場面なのに、オープニングとラストだけは、ハワイのリゾートを味わえるのだよね。
美しい海、緑の山々、そこでマリンスポーツを楽しむ人々。
こういうギャップが、アメリカっぽいって思ったわ。
どこか楽天的というか、気持ちの切り替えが早いというかね。
見ると気付くけど、日本はともかく、アメリカで売れる要素たっぷりなのだね。
ハワイのリゾート、ギャングの犯罪、ホラー的なヘビ使い、ヒーローアクション、キレイなおネエちゃん、人間模様、ラストのハッピーエンド。
なるほど。

ヘビが苦手な人は、多分見ない方がいいよ。
相当、気持ち悪いだろうから。
隣の席で見ていた女性二人組みが、最初の頃、ずっとあーとかきゃーとか言ってたもん。
そうでもない人は、なかなか良くできた、ヒーローアクション&パニック映画だから、どうかしら。
私、多分かなりほくそ笑んで見ていたはず。
ほくそ笑む。
あぁ、正にそういう作品だよ。
ほくそ笑んでみたい方は、是非!


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

精神安定剤 【マーキュリー・ライジング】 [映画日記<2006年>]

「マーキュリー・ライジング」をレンタル&視聴。

ブルース・ウィリスのヒーローアクションは、私の精神安定剤・・・になりつつあるようで。
想定内だけど、安心して見られる作品。

国家安全保障局NSAが巨額の費用を投じて開発、使用している暗号“マーキュリー”。
暗号作成員が、上司に内緒で、“マーキュリー”を一般のパズル雑誌に掲載してしまうと、それを解読したのは、何と9歳の男の子だった。
暗号を解読したのは、パズルに特別な才能を発揮する、自閉症児のサイモン(マイコ・ヒューズ)。
この失態を隠蔽しようと、NSAはサイモンを家族ごと消そうとする。
両親が射殺される中、間一髪、隠れて逃れたサイモンは、FBI捜査官のアート・ジェフリーズ(ブルース・ウィリス)に保護される。
アートは、ベテランの囮捜査官だったが、先の事件で上司と揉めた末、閑職へ回されていたところを、呼び戻されたばかりだった。
アートはサイモンの命が危ないと知ると、単身、彼を守る為、奔走する。
執拗にサイモンの命を狙うNSAのクロドー大佐(アレック・ボールドウィン)。
アートはサイモンを守りきる事ができるのだろうか・・・

ブルース・ウィリスの、父性本領発揮。
孤独で一匹狼のFBI捜査官なんて、いかにもな役柄だけど、子供との相性はバツグンだね。
先の囮捜査で、あと3秒あれば、犯人一味を説得、投降させられたところを、みすみす射殺させてしまい、しかも二人はまだ十代の子供で、彼はそれがしこりとして残り、安定剤を常飲するまでに落ち込んでいるのだよね。
ま、そんなアートの心を溶かすのが、サイモンなのだけど。

サイモンを演じたマイコ・ヒューズ君が、驚くほどの演技派。
小児精神科医の充分な監修があったとしても、彼の自閉症児の演技は、ピカイチ。
ものすごいリアリティで、説得力がありすぎる位だよ。
ブルース・ウィリス演じるアート・ジェフリーズが、ある意味平均点なキャラクターだから、このサイモンという役が、この作品の善し悪しを左右していると言っても、過言じゃないんだ。
サイモンは自閉症を患ってはいるが、知能に異常はなく、しかも自閉症患者特有の、ある特定の物事に特別な才能を発揮する能力を持っているのだよ。
サイモンの場合は、パズルや暗号解読といった能力ね。
その為に命を狙われる訳だけど。

国家安全保障局が、自らの失態を隠蔽する為とはいえ、国の大佐の命令でだよ、一般市民をいとも簡単に殺させてしまうのは、確かにちょっと強引というか乱暴だよね。
ま、でも、もし失態を認めるとなると、でき得る限り早急に、各国に入り込んで活動している諜報員を、全て撤収させ、その上で失態を発表して、巨額の費用はパァ、さらに責任まで取らなくちゃならないとなると、案外、そういう事態が起こらないでもないのかなぁ。
いや、あまくで、フィクションなのだけどね。
何十人、何百人の諜報員の命と、9歳の男の子一人の命。
どちらを選ぶか。
これを問うているのだけど、そんなの比べられる訳ないじゃない。
どちらも大事。選べない。
そういうテーマがあるのだね。

それともう一つ。
サイモンとアートの、心の交流ね。
自閉症患者は、他人とコミュニケーションをとるのが、非常に困難。
一瞬で両親を失い、しかも見ず知らずの男に連れまわされるはめになったサイモンが、最初はどうしようもないのだけど、次第に、アートと一緒にいるのが普通になっていき、最後には友達になる。
あぁ、なんて予定調和なのでしょう。
なんて映画向きなのでしょう。
いや、悪い意味じゃなくってね。
子供と動物には勝てないって言うらしいけど、孤独な男と孤独な少年、組み合わせ的にはサイコーでしょ。
分かってはいても、二人の心の交流に、温かさを感じられるのだから、それを楽しめばいいのよね。

必要に迫られたとは言え、病院でしかも小児病棟でいきなり発砲したり、
途中から登場するヒロイン、無理矢理サイモンの為に巻き込まれる女性なのだけど、彼女の存在があまり意味がなかったり、
毎度の事だけど、国家安全保障局の面々、ようは敵役が、いまいち小者だったり、
ツッコミどころというか、物足りないところは多々あると思う。
それでも、アートが、終始ヒーローでいてくれるので、やはり精神安定剤なのだよ。
当たり障りがないと言ったら身も蓋もないけど、可もなく不可もなくと言ったら元も子もないけど、
ヒーローものとは、そう言うものなのかもしれないね。
想定内だけど、安心して見られる作品。
うん、間違いない。
そういう気分の時、見てね。

マーキュリー・ライジング

マーキュリー・ライジング

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • 発売日: 2006/11/30
  • メディア: DVD


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

自己犠牲と誇り 【ジャスティス】 [映画日記<2006年>]

「ジャスティス」をレンタル&視聴。

これは、ちょっと変わった環境下での、法廷ものなのかなぁ。
最終目的は違うのだけど、そういったテイストもあるって事か。
戦争もので、法廷もので、人種差別問題もあって、“誇り”を懸けたヒーローもの。
盛りだくさんだね。

第二次世界大戦下。
ドイツのアメリカ兵捕虜の収容所内。
ドイツ軍からの酷い尋問の末、新入りの捕虜として連れてこられたハート中尉(コリン・ファレル)。
父親の地位のおかげで、後方の司令部にいたハート中尉は、上官の送迎途中に襲われ、捕虜となったが、前線は全く知らないロースクール生のボンボン育ち。
収容所内を仕切るアメリカ軍捕虜の上官は、マクナマス大佐(ブルース・ウィリス)。
翌日、空軍の黒人少尉二人が捕虜として加わった事から、収容所内は人種問題を抱える事となる。
黒人白人の対立ムードが高まる中、黒人少尉一人が武器携帯でドイツ兵に射殺されたのをキッカケに、黒人を徹底的に嫌う白人兵が殺され、もう一人の黒人少尉が犯人として捕らえられる。
裁判を申請するマクナマス大佐は、黒人少尉の弁護人に、ハート中尉を指名する。
完全に不利な状況で、ハート中尉はなんとか裁判に勝とうと、あれこれ努力を始めるが、
事態はそんなハート中尉のあずかり知らぬところで、水面下で、しかし着実に進んでいた。
果たして、マクナマス大佐の真意とは、冤罪の汚名を着せられた黒人少尉の裁判の行方は、水面下で進んでいる計画とは、ハート中尉の戦争は、これから始まる・・・

原題は「Hart's War」
「ハート中尉の戦争」という意味。
前線も知らず、それでも将校で、訳の分からないまま捕虜となってしまったハート中尉の、個人的な戦争、そういう意味合いがあるのだよね。
これは映画を見ていくと、分かるよ。

知らなかったのだけど、ドイツ軍の収容所内の捕虜なのに、ちゃんとアメリカ兵の間でも、命令系統がそのまま生きているのだね。
上官、下士官、それ以下と、地位でしっかり上下関係が継続されているのには、驚いた。
多分、捕虜の数が数千人単位と多いし、そうじゃないと統率がしきれないし、捕虜とはいえ、上官は上官、そういう事か。

もう一つ、収容所内の人種差別は、驚き。
時代が古いとはいえ、アメリカの人種差別は、救いようがないよね。
戦争捕虜で、自分達の命でさえ、ドイツ軍の手の内にあるのにも関わらず、まだ黒人を差別するかぁ、と思って。
こればっかりは、ちっとも理解できん。
白人、アーリア人から見れば、モンゴロイドもカラーだし。
生まれ育った環境の違いだけは、いかんともしがたいなぁ。

この作品、非常にテーマが多い。
表立った本筋は、人種差別をテーマにした、裁判なのだけど。
それも、収容所内という特別な環境下でのね。
でも、それだけを見てしまうと、マクナマス大佐の行動が、非常に不審。
どっちの味方なのか、どうしたいのか、彼は善悪どちらの人なのか、分かりづらい。
せっかく正義に目覚めて、黒人少尉の弁護に力をいれるハート中尉なのだけど、マクナマス大佐は、それを邪魔しようとしているみたいに見える。
んじゃ、差別容認派なのかといえば、どうもそうじゃなさそう。
というより、うがった見方だけど、あくまで主役のマクナマス大佐が、ヒーローを演じさせたら右に出るものはいないであろうブルース・ウィリスが演じる男が、そんなコスイ人物じゃないだろうと、勝手に想像して見ているものね。
それに、マクナマス大佐の存在感が、もうありすぎで、捕虜にも関わらず、堂々とした立ち姿にしても、小者には見えないよ。
立派な人物に見えるもの。
でも、ある事実、水面下で着々と動いているある計画が知れると、マクナマス大佐の言動も、そうするしかないのか、と納得できるかな。
あくまでハート中尉の視線で描かれているから、その計画が知れるまでが長く、ちょっとイライラさせられるね。

やがてハート中尉は、知る事となる。
マクナマス大佐が、密かに計画しているのは、収容所からの、脱走計画。
脱走というか、破壊工作だな。
収容所の目の前にある工場。
靴工場と思わせているのは、実は弾薬工場。
それを破壊したかったのだね。大佐は。
大佐自身、骨まで軍人。
4代続く士官学校出身の将校一家で、大佐は、前線で戦っていたかった訳だ。
捕虜として何もできない自分が不甲斐なく、何か自分なりに、アメリカの為に戦いたかったのだよ。
それが、大規模な脱走計画につながるのだね。
ハート中尉は、それを知らなかった訳だけど、他の捕虜達は知っていて、みな手を貸していた訳だ。
でも、その脱走用のトンネルを掘っている上の劇場が、捕虜が増える事によって、使えなくなる事が分かると、マクナマス大佐は慌てる。
殺された白人は、ドイツ兵と裏で取引していて、脱走計画をリークする恐れがあると、マクナマス大佐自ら、手にかけていた。
黒人少尉が、このままいけば、確実に処刑されるだろう事は、マクナマス大佐には容易に予想できたけど、それもトンネルと脱走計画の為に、必要な犠牲だと、腹をくくっていた。
黒人少尉の裁判は、トンネルと脱走計画の為の大いなる茶番、時間かせぎが目的だった訳だ。
それを知ったハート中尉、黒人少尉、マクナマス大佐、この3人それぞれの立場と、理解と、心理は、この作品の核となるテーマにつながる。
“誇り”だね。
アメリカという国の為の犠牲、軍人の誇り、アメリカ人としての誇り、戦争の正義。
そういうものに突き動かされたマクナマス大佐の決断は、分かりづらいが、理解はできる。
良くできたもので、黒人少尉も、国の為なら、犠牲になれる。
彼も黒人という、どうしようもない壁を抱えていても、国を思う気持ちは、人一倍持っていて、国の為に、自分の誇りの為に、犠牲になっても良いと、思うのだよね。
ハート中尉も、そのあたりは分かりが良く、マクナマス大佐の計画も、黒人少尉の犠牲も理解した上で、殺人の罪を、自ら被ろうとする。
それが、マクナマス大佐の為であり、しいては、アメリカの為と、これまた腹をくくるのだよ。
できすぎでしょうね。
でもこれが、第二次世界大戦中の、しかもドイツの捕虜収容所の話となると、信憑性もでてくるってもんだ。

テーマを盛り込みすぎていて、散漫な印象は拭えない。
なんというか、戦争独特の正義というか、軍人の誇りというか、特別な環境という事を忘れちゃいかんね。
それでも、マクナマス大佐の誇りと犠牲は、ぐっときてしまったよ。
脱走と破壊工作の計画は、マクナマス大佐の目論み通り、成功する。
それはドイツ人将校も認める。
が、そのせいで、脱走計画に関わった、元より裁判に関わった米兵達が処刑されそうになると、そこへマクナマス大佐が戻ってくる。
自分一人の命で、他のみなを助けて欲しいと、ドイツ人将校に申し出るのだよ。
予想的中。
やはりそうくるかぁ、と思いつつも、マクナマス大佐の威風堂々とした姿が、とてもカッコ良いのだな。
自己犠牲の精神、誇りを守る為の死。
なんか武士道みたいだね。

ドイツの収容所というと、どうしてもユダヤ人へのホロコーストのイメージしかないけど、確かに捕虜は、各国様々だったろうね。
とくに兵士ともなればね。
ホロコーストに関しては、「シンドラーのリスト」で号泣した私だけど、それに比べれば、これは全然甘い収容所生活だよ。
軍人としての地位と、最低限の誇りは持てる訳だし。
“誇り”という共通テーマが、作品の中にあるのだけど、やはりもう少しテーマを絞った方が、分かりやすかっただろうね。
戦争だけでも、人種問題だけでも、一つの映画が撮れるのだからね。
「ジャスティス」正義というより、やはりハート中尉の個人的な戦争だよな。
前線で命を懸ける兵士に、収容所で誇りの為に命を懸ける兵士。
どちらがどうというのではなく、どちらも戦争だという事だね。
考えさせられる事は、きちんとたくさん含んでいる作品だよ。
後で知ったけど、ついこの間見た「オーロラの彼方に」と同じ監督さんだったわ。
コリン・ファレルはともかく、ブルース・ウィリスに、警察官だとか軍人だとか、上に立つ立場の人間の役を演じさせたら、やたら似合うよね。
彼にはヒーローがお似合いだよ。
収容所のセットなんかは、かなり当時に忠実に作ってあるようだから、ホロコーストだけじゃない、ドイツの収容所を知る事ができたよね。
エンターテイメントの枠から出るような作品ではないから、気楽に見る方が、良いと思うわ。

ジャスティス デラックス版

ジャスティス デラックス版

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2004/06/25
  • メディア: DVD


おまけ

シンドラーのリスト スペシャルエディション

シンドラーのリスト スペシャルエディション

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • 発売日: 2006/06/23
  • メディア: DVD


nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

定番も良しとするか 【リベリオン ~反逆者~】 [映画日記<2006年>]

「リベリオン」をレンタル&視聴。

この手の近未来アクションは、大概展開が予測できちゃうのだけど。
その想定内で、いかに心に残るものを作るか、それかな。
そういう意味では、決して予想より出るものはないけど、でも見た後の収まりの良さがいい作品なのだと思うよ。

第三次世界大戦後の人類。
この次、また戦争が起これば、人類の滅亡は避けられない、と判断した生き残った人たちは、徹底的に感情を制御した世界を作り出した。
感情を揺さぶる可能性のあるもの、主に芸術に関わるものは、一切禁止。
本、音楽、絵画、動物達・・・
負の感情、怒りや憎しみを制御する弊害として、愛情や喜びといった感情を犠牲にしていた。
さらに、感情を制御する薬の投与を義務付け、違反者を取り締まる“クラリック”と呼ばれるエリート取締官が、厳しい警戒をしていた。
そんな“クラリック”のプレストン(クリスチャン・ベール)は、直感的に、人の感情の高ぶりを察知できる凄腕の取締官。
彼は、ある日、朝の投与分の薬を、落として使えなくしてしまう。
薬なしで取り締まりに出かけたプレレストンは、自分の感情の変化に気付き、戸惑う。
やがて違反者達の残した芸術品の興味から、逃れられなくなっていくプレストン。
半信半疑のまま、自分の感情に逆らえなくなっていくプレストンが、最後に選んだ結末は・・・

故意的に感情を抑えている人々が、怖い。
無表情というのではなくて、どこか押さえ込んでいる感じかな。
役者を無表情のゾンビにしなかった監督は、エライ。
プレストンを演じるクリスチャン・ベールが、薬をやめてから、湧き出る感情に惑わされ、動揺しながらも、次第にそれを認めていく様子を、丁寧に演じていて、良い感じ。
彼の無表情のドアップは、なかなか怖いけど、ちろっとずつ、表情がゆるんでいくのは、ある意味微笑ましかったよ。

こういう感情や芸術を禁止した未来設定というのは、決して目新しくないけど、
昔、日本のドラマでも見た事あるしね。
違反者達が、アジトに隠し持っている音楽や絵画や本が、
現在普通に流通している、というか、有名なクラシックだったり、モナ・リザだったり、一般家庭に置いてあってもおかしくない調度品だったり、考えると恐ろしいよね。
今、私の周りにある、ほとんどのものが禁止されちゃうなんてさ。
生活=感情だよね。
それを、改めて実感しちゃったかな。

“クラリック”が使う武術、“ガン=カタ”
中国武術の形に、銃を撃つ動作を上手く混合させて作った形らしいのだけど、これが、なかなかカッコ良く見せているよ。
銃弾を避けてみせるなんてシーンが、時たまあるけど、それはムリだろうと思うと、急にウソ臭くなるものだけど、この“ガン=カタ”は、相手の動作の先を読んで、ようは引き金を引く前に、それを予測して、銃を避けるから、決して弾が当たらなくても、ウソ臭くならないのだよ。
全体として、アクションや、衣装とかは、見てすぐ分かるのだけど、「マトリックス」に大いに影響されている模様。
プレストンも、見た目、ネオっぽいし。
それでも、“ガン=カタ”を使った銃撃戦や、日本刀を使った剣術アクションは、なかなか楽しめたよ。

プレストンが薬をやめた結果、彼は、違反者達と接触し、感情ある、いわゆる普通の暮らしの事を知り、政府組織の壊滅に、手を貸す事になる。
その為に、表向きは“クラリック”のまま、裏で動く事になるのだけど、
同僚の“クラリック”に疑われて、逆に違反者として逮捕されたり、前途多難。
しかも、薬をやめたせいで、いちいち自分の感情に左右されて、動揺しまくり。
違反者として処刑された元相棒(ショーン・ビーン)の恋人に、懸想までしたりね。
彼女の香水が香る、赤いリボンを隠し持っていたり、
殺される子犬を見かねて、なんだかんだ理由を付けて助けたり、その為に警官を皆殺しにしたり、
プレストンの不器用さが、感情を初めて知って、受け入れていく段階としては、いい効果だったかもね。
子犬に顔を舐められて、どうしたらいいか分からない表情のプレストンは、笑えるよ。
ま、子犬のアップは、卑怯かな。可愛すぎてね。
一応、伏線になっているのだけど、プレストンの妻が、4年前に感情違反者で、処刑されているのだよね。
息子と娘がいるのだけど、この息子が、実はかなりの曲者。
一番おどろいた登場人物だったのだけど、
小学生くらいで、無表情で政府の宣伝放送を見たりしている姿は、かなり不気味。
なのだけどね。
プレストンが、感情違反の容疑で、家宅捜査を受ける時、慌てて未使用の隠してある薬を取りに、隠し場所の洗面台の鏡のをはずすのだよね。
でも、そこには、隠してあった薬は、なくなっていた。
実は、その息子が、処分していたんだよ。
息子がプレストンに、「もっと上手くやらなきゃ」って言って笑うの。
この息子、サイコーだよ。
実は、息子は、母親が捕まった4年前から、薬は未使用。妹も同様。
4年間、“クラリック”の父親に、薬の未使用を隠していた訳だ。
多分、母親の影響なのだろうけど、知らぬは父親ばかりなり、だよ。
妻が逮捕された時、彼女はプレストンにキスして、「Don't Forget me.」って言ったのかな。
その時の、戸惑う表情のプレストンが、印象的。
彼は、もっと早く、何が大事なのか、気付くチャンスがあったのだよね。
妻に、間違いなく愛されていた訳だからさ。
ラスト、もちろん、プレストンは勝ち、やがて市民蜂起が起こって、多分この世界は、一旦壊れるのだろうね。
まぁ、ありきたりすぎて、ちょっと恥ずかしいけど、やっぱり大事なのは、人の心って事だ。
負の感情もあれば、善の心もある。
それが、人というもの。
これって、仏教的な考え方なのだね。
プラスマイナス、両方の感情があるから、できるだけマイナスの方を、自制心で制御しようとする。
煩悩を捨てるって事だ。
性善説や性悪説とは、違うって事なのだろうね。

私は、楽しんで見たけど、その手のB級映画は、見る人それぞれ、良しとするか悪しとするか、分かれるところだとも思う。
“ガン=カタ”にしても、カッコイイとするか、アホらしいとするかで、大きく違う。
設定だって、あまりに定番で、それを受け入れて見れるか、否か、全く感想は違ってくるだろうからね。
「リベリオン」は、非常に分かりやすい作りで、小難しい解釈はいらない作品だと思う。
見たまま、感じたままが、ほぼ作り手の言いたい事で、間違いないはず。
裏を読むとか、行間を読むとか、そういう楽しみ方も、もちろん素晴らしいと思うけど、こういうストレートすぎる作品も、これはこれで楽しいよ。
これを言ったらお終いな気がするけど、A級だろうがB級だろうが、ようは見た本人が楽しめたかどうか、だよね。

制作が、「スピード」のヤン・デ・ボンで、ちょっと納得。
クリスチャン・ベールは、「バットマン・ビギンズ」しか見た事なかったけど、硬派な役が似合うね。
詰襟が似合う(笑)
「イーオン・フラックス」とかもそうだけど、世界共通認識として、近未来は、抑制された世界と設定するのが、人気だよね。
ストーリー展開しやすいのだろうし、ヒーローも生まれやすいから、当たり前といえば当たり前か。
でも、そうはなりたくないっていう気持ちがあるから、きっとこういう近未来設定のお話が、なくなる事がないのだろうと、思うな。
そうはなりたくないって世界は、フィクションの中だけで、充分。
そういう事だよ。

リベリオン -反逆者-

リベリオン -反逆者-

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2003/10/24
  • メディア: DVD


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

オヤジの再生物語 【16 BLOCK】 [映画日記<2006年>]

「16 BLOCK」を見たよ!

冒頭から余談だけど、原題は「16 BLOCKS」
今どき小学生でも、英語は複数形の“S”がつくって知っているだろうに、
邦題はどうして“S”を抜いたのだろうね。

16ブロック=16区画。
碁盤の目に街が整備されているニューヨーク、じゃなくても、外国ではよくこう呼ぶよね。
道から道までが1区画って事だよね。
それが16個分。
約1.5kmちょい。ほぼ山手線2駅分。
たったこれだけの距離で起こった、約2時間の、アクションありの人間ドラマだよ。

ニューヨーク市警、ジャック・モーズリー刑事(ブルース・ウィリス)。
悪い右足を引きずり、中年太りのお腹がベルトにのっかり、スコッチ漬けのアル中。
ヤル気より酒。
敏腕刑事だったのは、昔の話。
夜勤明けのジャックは、上司より、証人になる囚人エディ(モス・デフ)を、16ブロック離れた裁判所まで連れて行く残業を押し付けられる。
15分で終わるからと、言いくるめられて。
署を出てすぐ、しゃべりまくるエディを車において、ジャックは馴染みの店で、スコッチを仕入れる。
店から出ると、車の中のエディに、銃を向ける男が一人。
次の瞬間、ジャックはその男を撃っていた。
銃弾にさらされるエディ。
彼を車から引っ張り出すと、ジッャクは常連の飲み屋へ逃げ込む。
そこで署へ連絡を入れると、かつての相棒、フランク・ニュージェント(デヴィット・モース)がやってきた。
そこでジャックは、フランクの口から、やっかいな事を聞かさせる。
エディは、悪徳警官の所業を目撃しており、それを証言されると、芋づる式にたくさんの刑事が、検挙されるであろう事。
その為に、エディはここで、始末しなければならない事。
ジャックは、いつものように、口をつぐんで知らないフリをして、素直に自宅に帰れば、翌日からまた普通の日々が送れるはずだった。
ところが、ジャックの中で、何かが起きた。
同僚の刑事を撃ち、ジャックはエディをつれて逃げる事を選んだのだ。
裁判で証言するタイムリミットは、約2時間後。
同僚の全ての刑事が敵に回る中、ジャックは無事エディを連れて、裁判所までたどり着く事ができるのか・・・

中年の疲れたアル中刑事のジッャク・・・ブルース・ウィリスが、とてもハマりすぎ。
ワイシャツからでも分かる下っ腹は、見事。
引きずる右足には、土踏まずに小石なんかを入れて、自然に見せたらしい。
走ればすぐに汗をかき、息はきれ、涙目で、赤ら顔、白髪交じりのハゲ上がった髪。
熟柿の匂いがしてきそうな、素晴らしくカッコ悪い役作りが、サイコーにハマってるよ。
カッコ悪いからこそ、ジャックの人間臭さと、その後のエディとの掛け合いのドラマに、味が出たのだと思うよ。

エディを演じたモス・デフは、ラッパーなのだってね。
でも、このエディ役の成功が、この作品がさらに面白くなった理由だと思う。
小悪党なのだけど、とにかくよくしゃべる。
さらに緊張をしゃべって紛らわそうと、まだしゃべる。
時に、子供に優しさを見せたり、何でも吉兆だと言ったり、ケーキ屋に憧れたり、ね。
舌足らずなんだか分かんないけど、発音のはっきりしない、独特のしゃべり方をする人だよ。

ジャックとエディの、対比が面白いね。
ジャックは、何もかも手に入れたのに、明日に絶望する男。
エディは、何も持っていないのに、明日の希望に生きる男。
その二人が、とんでもない事件に巻き込まれながら、人は変われるというテーマを体現していく様は、アクションそっちのけで、感動してしまったよ。
小悪党のエディに、ジャックは、人は簡単に変われるものじゃない、と言い聞かせるのだよね。
だからエディが、どんなに更生を誓っても、ケーキ屋の夢を語っても、またすぐに小悪党に戻ってしまうだろうと、ジャックは言うのだよ。
でも、自分の命を懸けてまで、エディを救おうとしたジャックに、エディは犯罪者から更生した有名人の名前をあげて、自分達も変われるのだという事を、ジャックに信じさせようとするんだよね。
ともすると、死に場所を求めてるようなジャックに、エディは人は変われるという事を信じさせて、ジャックに希望を与えようとするのだよ。
成り行き上、バスを乗っ取ってしまって、SWATの突入直前、乗客が持っていたテープに、遺言を吹き込むジャックと、
せっかく逃がしてもらったのに、更生した犯罪者の名前を叫びながら、バスに戻ってくるエディと、
生きる力の両極にいる二人のシーンに、思わず涙が滲んじゃった。

撃ち合いやら、バスの暴走シーンなど、ニューヨークの街を使ったアクションもすごいのだけど、
それより、ジャックとエディの人間模様というか、二人の移り行く心理描写の方が、ぐぐっときたね。
結局、一番最初に、何がジャックを目覚めさせたのは、よくは分からないけど、
「何か良い事がしたかった」っていうジャックのセリフもあるのだけど、
死ぬ前に、もう一度、正義感に燃えていた頃の自分を、一瞬でもいいから、取り戻したかったのかな。
それと、悪徳警官の芋づるの先には、ちゃんとジャック自身もいて、
もちろん、昔の敏腕だった頃のジャックだけど、
エディを助ける事が、ジャックにとっては、贖罪なのだろうね。
過去を償って、もう一度未来へ。
本当に正しい事とは何ぞや。
それが、テーマか。
中年男性の、再生物語でもあるね。
あぁ、おじさんもう一度ガンバレ、って事か。

エディが、出会う人みんなに問う、なぞなぞのような心理テストのような話が、ちょっとした禅問答みたいになっているのね。
嵐の日、バスを運転するアナタは、3人の人に出会う。
一人は、具合の悪いおばあさん。
一人は、アナタの命の恩人の友人。
一人は、ものすごいタイプの美女。
しかし、もうバスには、一人しか乗せる事ができない。
さあ、アナタは、誰を乗せますか?
ラストでジャックは、エディにこう答える。
自分はバスから降り、友人に運転させて、おばあさんを病院へ送る。
そして自分は、ものすごいタイプの美女と、二人っきりになる。
その答えを聞いて、ジャックは根っからの悪でもなく、ましてや、人生捨てるような人物でもなく、
本当はナイスガイなのではないかって、思わせるよね。
シャレの効いた、カッコイイ男なんじゃないかってね。
してやったり。まんまとやられたわ。

ジャックの妹が救急隊員で、撃たれたエディを助けたり、エディが後に、ちゃんとケーキ屋になれたりとか、いかにもハリウッドのハッピーエンドで、ツッコミどころだけど、それはご愛嬌でしょう。
あえてツッコミ入れなくても、充分面白かったしね。

タイムリミットが用意されてて、それまでに本当に裁判所へたどり着けるのか、ドキドキ感がイイ。
しかも、物語中の時間の流れと、本当の時間が、ほぼシンクロしてて、ドキュメンタリーちっくに作ってあるのだよね。
余計、ドキドキできるよ。
なかなか面白くて、楽しめる作品だったわ。
監督がリチャード・ドナー。
聞いたことある名前のはず。
「リーサル・ウェポン」シリーズというよりは、私の中では、あのブライアン・シンガー監督が、ものすごいリスペクトした、「スーパーマン」を撮った監督さんだね。
さすが、と言うべきかな。

これは完全な余談だけど、
エディが大切にしていたケーキのレシピが書いてあるノートが、「バタフライ・エフェクト」で主人公が日記を書いていたノートと同じだった。
白黒の模様のやつね。
ものすごい定番のノートなのかしらね。きっと。

アクション映画のはずが、味のある人間ドラマが楽しめて、一度で二度オイシイ、みたいな作品だったと思うわ。
やっぱり、ブルース・ウィリスには、刑事役が良く似合う。
「ダイ・ハード」のマクレーン刑事にしても、今回のジャック・モーズリー刑事にしても、どの道、運の悪い刑事なのだね。
笑えるくらい、巻き込まれ型の典型だね。
今回の作品は、さすがにシリーズ化できるような内容ではないけど、かなり満足できて、ご満悦だわ。


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

日韓合作の意味なし 【ロスト・メモリーズ】 [映画日記<2006年>]

「ロスト・メモリーズ」をレンタル&視聴。

日韓合作。
近未来アクションと銘打ってあるけど、どちらかというと歴史タイムパラドックスでしょう。
“if”の世界の、日韓史とでも言えばいいかな。

1909年、ハルピン駅での伊藤博文暗殺失敗。
原爆はベルリンに投下され、日米連合軍は、第二次世界大戦に勝利する。
朝鮮半島は日本になり、100年。
2009年、京城(ソウル)では、韓国独立派によるテロが、活発化していた。
とある日、井上財団主催による、美術品展示会が襲われる。
事件解決に駆けつけたJBI(日本特殊捜査局)所属の警官、西条(中村トオル)と坂本(チャン・ドンゴン)。
事件を探るうち、井上財団の秘密、“月霊”を巡る攻防、歴史に隠された陰謀、大きな時の流れに巻き込まれ、やがて二人の友情は引き裂かれてゆく。
果たして、事件を追う二人が目の当たりにする、隠された歴史の真実、そして隠させた“月霊”の本当の姿とは・・・

とあるユーザー・レビューに、
「韓国人のマスターベーションを、中村トオルが手伝った」
そうあったのだけど、おそらく、そうなのでしょう。

先に誉めておこう。
“if”の歴史という着眼点は、非常に面白かった。
もし日本が第二次世界大戦に勝っていたら・・・
朝鮮半島が全て、日本だったら・・・
現ソウル市内が、日本の内地みたいになっているのは、不思議だよ。
全て日本語書かれていて、話す言葉も、もちろん日本語。
豊臣秀吉の像があったり、現韓国人の選手が、日の丸背負っていたりね。
元朝鮮人は、朝鮮系日本人。
いいアイディアだと思う。
そして、韓国独立派のテロってのも、当然起こるだろうと想像できるしね。
で、主演が中村トオルと、チャン・ドンゴンだから、私は当然、二人の男の、友情物語が見れるのかと、勝手に思っていたのだけど。
途中から話が違う方向に進んでいって、いやー、参ったね。

ここからは、お待たせしました。ツッコミタイム!
まず、セリフの半分以上が日本語なのだけど。
そりゃ、統治されて100年たてば、皆、日本語はペラペラのはずでしょう。
韓国時代は遠い昔。
世代も変わっていて、韓国語を話せる人の方が少なくなっていてもおかしくない。そういう時代のはず。
日本語のセリフで頑張ったチャン・ドンゴンは、よくやったよ。
よく頑張ったとは思うけど、かなり聞きづらい彼の日本語のセリフに、見ているこっちとしては、気を取られる。
聞き取れないセリフも、結構あった。
ま、それはまだ、許容範囲内。

ストーリー展開として、キーとなるのが、“月霊”
石でできた発掘物で、実はこれが、過去に戻る事のできる代物。
井上財団が何より“月霊”守りたかったのは、“月霊”を使って、1909年に伊藤博文の暗殺を未遂に終わらせたのが、未来からタイムスリップしてきた、井上自身だったという事。
歴史は本当は今のとおり、日本は敗戦国で、原爆も落とされていて、韓国は韓国のもの。
それをムリヤリ変えてしまったのだという事よ。
人為的に、歴史を変えてしまった。それを知ったのが、韓国独立派の人たち。
当然、歴史を元に戻そうと、自分達の民族の誇りにかけて、そう思っても、決して不思議ではないよね。
それは、分かる。

西条と坂本の、友情物語かと思っていたのが、違っていたのは、西条がれっきとした日本人であるのに対し、坂本は朝鮮系日本人だという事。
今の日本を守りたい西条に対し、歴史を取り戻したい坂本。
この二人の対決に、話は進んでいくのだよね。
でも、そうなると、西条対坂本が象徴するのは、日本対韓国。
国の対立なのだよ。
せっかく日韓合作で、友情物語かと思いきや、その内情は、国の我の張り合い。
ラストで坂本が西条を撃ち殺す事からも、分かるとおり、韓国がヒーローで日本が悪役、韓国が日本に勝った、多分それが本当に言いたい事なのだよ。
つまらん。
途端につまらなくなった。
確かに、ツッコミどころ満載で、呆れる一歩手前でなんとか踏ん張っていたのに、後半、急に冷めたわ。
だから、「韓国のマスターベーション」、そういうレビューがあがるのだよ。
合作の意味がないよね。
マスターベーション的なものを作りたいなら、日本人を巻き込む必要なし。
だいたい韓国は、「冬のソナタ」に代表されるように、日本人のおばさま方からしこたま儲けておいて、自国民からは反日映画でしこたま稼いでいるのだよ。
全て友好的にとは言わないけど、合作で対立はないっしょ。
中立ならともかく、どちらかの目線になってしまった時点で、感情的にも対立するに決まってるって。
韓国人は見ても気持ちいいかもしれないけど、これを見てなんとも思わない日本人はいないと思う。
だから、中村トオルは、本当によくやったと感心するわ。
私が合作に期待するのは、こういう事では、ないな。

相変わらず、日本の印象というのにも、がっかりさせられる時がある。
西条の自宅は、日本のお寺が撮影場所だったらしいけど、純和風の邸宅で、西条も奥さんも和服。
素晴らしい庭園があって、粛々とした妻が、家を守る。
違和感ないらしいよ。
こっちは、違和感ありすぎなのにね。
現状じゃ、共稼ぎが標準になりつつあり、和室のない家に住む人が、たくさんいるってのに。
欧米やアジア以外なら大目に見るし、完全なSF世界ならともかく、お隣韓国までこれじゃぁ、なんかねぇ。
確かに、和室はいいよ。落ち着くし。畳の匂いとかも、嫌いじゃない。
でも、和服を普段着にしている人って、ものすごく限られているよね。
真夏の甚平ならともかく、こういう印象から逃れられる日は、いつか来るのかなぁ。

少し前、自分の祖父が、職業軍人だったって事を知った時、“if”を考えてみた事がある。
もし戦争に勝っていたら、祖父は、毎朝部下二人がお迎えに来るくらいの人物だったらしいから、父はボンボンかなぁ、とかね。
でももしそうだったら、民主主義になるキッカケはなくて、帝国主義が続いていたかはわかんないけど、軍事国家にはなっていて、今のような国ではなかっただろうね。
何故か、ちょっと怖いわ。

どうも、韓国人の本音を、垣間見てしまった気がする。
見なきゃ良かった、と思った、数少ない作品の一つになっちゃった。
CGやアクションの技術がとか、どうこういう以前の問題。
戦争の問題を、どうこういう気は、全くないけど、社会派の映画を作りたかったのなら、これでもいいのだけど、アクション娯楽作を作りたかったのなら、どうなのでしょうね。
設定の着眼点は面白かっただけに、すごく残念な気分だわ。
「シュリ」を見た時も思ったけど、韓国映画の銃撃戦は派手で、血のりも多いし、簡単に頭も撃ちぬくよね。
それはハリウッド映画ではあまりできないから、韓国の特徴だよ。
でも、この見終わった後の、中途半端さと、気持ち悪さはなんだろう。

思い出したけど、子供をダシに使っちゃダメよ。
スローモーション&ドアップで、子供を撃ち殺しておいて、感情に訴えようってハラだと思うけど、これは卑怯でしょう。
子供が死ぬのを見て、なんとも思わないなんて事はないのだからさ。
これは、反則技。

日本人には、決してお薦めできないけど、もし、怖いもの見たさがあるなら、見てみる?
コメンタリーをちろっと聞いていたら、中村トオルの人柄を、チャン・ドンゴンが誉めていて、それで日本人の俳優のイメージが良いものになったらしく、それが唯一の救いな気がする。
いろんな意味で、すごい1本だったわ。

ロスト・メモリーズ

ロスト・メモリーズ

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2005/11/18
  • メディア: DVD


nice!(0)  コメント(7)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

渋い大人の魅力満載 【ザ・センチネル/陰謀の星条旗】 [映画日記<2006年>]

「ザ・センチネル/陰謀の星条旗」を見たよ!

予想以上に渋くて、中年男性の魅力あふれる作品に、ご満悦。

141年の伝統と誇りを持つシークレット・サービス。
一度も裏切り者の出ていないシークレット・サービスに、情報屋より、大統領暗殺の情報が入る。
そして、シークレット・サービスの誰かが、関与しているらしい。
捜査の命を受けたデヴィッド・ブレキンリッジ(キーファー・サザーランド)は、ウソ発見器の結果などから、彼のよく知る人物の自宅へ、乗り込んでいく。
一方、かのレーガン大統領を銃弾から救ったシークレット・サービス伝説の男、ピート・ギャリソン(マイケル・ダグラス)。
彼には、誰にも言えない秘密があった。
それは、大統領のファースト・レディ、サラ・バレンタインとの関係。
それを誰かに知られ、脅されるピート。
ついに、シークレット・サービスの仲間まで殺され、内部の裏切り者の存在が、いよいよ真実味を持ってくる中、ピートの元へ、内部調査を進める彼の教え子でもあるブレキンリッジが、自宅まで乗り込んでくる。
彼らの間には、個人的な溝があった。
それは、ブレキンリッジは、自分の妻とピートが、寝たと思っている事。
恩師と教え子。
裏切り者の嫌疑と、ファースト・レディとの不倫。
自ら容疑を晴らすしかないピートは、新犯人を見つける為、ブレキンリッジの隙をつき、逃亡を選ぶ。
果たしてピートは、犯人を見つけ、自らの嫌疑を晴らし、大統領暗殺を未然に防ぐ事ができるのか・・・

冒頭から、シークレット・サービスの徹底した警備の様子と、その統率のとれた組織の様子が、彼らの無線の音声と共に、テンポよく紹介されてて、カッコ良いよ。
大統領とファースト・レディの、プライベートのなさ、さすがにベットルームまでは入ってこないけど、常にシークレット・サービスがついて回るのは、いやぁ、さすが。
大統領の事を“クラシック”、ファースト・レデイの事を“シンシナティ”とコードネームで呼ぶのだね。
ホワイト・ハウスの執務室も、多分本物と同じに作られてて、他の映画で見た執務室も同じだったから、きっとそうなのだと思うのだけどね、スタッフは徹底したリアリティを求めて、この作品を作っているのだと思うよ。
それが伝わってくる。
移動手段やルートも2つとか用意してあって、その瞬間まで、どちらを使うか、分からなくなっていたりね。
とにかく、警備の厳重さは、他の比じゃないんだよね、きっと。
だから、その分、シークレット・サービスから裏切り者が出た場合の、その危うさが、想像できる。

裏切り者の嫌疑と、ファースト・レディとの不倫と、二つのどうしようもない事情に翻弄されるピートが、ストーリーの中心。
彼の逃亡劇が始まると、途端にスピード感が増したね。
演じるマイケル・ダグラスも、結構年がいってると思うのだけど、それを感じさせないキレがあって良いね。
凛とした容貌もそうだけど、とにかく賢いのだよ、彼は。
それを知っていて、追うブレキンリッジだけど、ピートの方が一枚上手なのよね。
経験の差かしらね。
携帯もカードも使えず、それでもその手際の良さには、本当に下を巻くよ。
おじさん、カッコイイっす。

もう一つの見所は、ピートとブレキンリッジとの友情かな。
師弟関係なのだけど、ピートが妻と寝た寝ない問題が、ブレキンリッジを頑固にしていて、最初はその溝が決して埋まらないのではないかとも思った。
でも、ピートが少しずつ真実に近づいていくと、ピートの潔白をブレキンリッジも信じざるをえなくなる。
二人の関係が、少しずつほぐれていって、結果、再び、昔の友情を取り戻して、二人で大統領暗殺を阻止しようと、走り出した姿は、いいよね。
「24」を見た事がないから、ブレキンリッジを演じるキーファー・サザーランドを見たのは初めてだったのだけど、渋くていい俳優さんだと思ったわ。
彼も凛としているし、聡明な感じがするよね。
ただ、私の中で、どうもキーファー・サザーランドとマイケル・ダグラスの印象がかぶってましって、最初のうちは見間違えたりしちゃって、ちょっと困ったけど。

大統領暗殺を計画していたのは、元KGBと、シークレット・サービスを裏切ったモントローズなのだけど、まぁいつも通りというか、犯人役がいまいち存在感が薄いのは、仕方ないかな。
今回は特に、ピート・ギャリソンとブレキンリッジの二人の存在感が、かなり強いから、しょうがないのだけどね。
何より、141年で初めての裏切り者になったモントローズが、思ったより小者キャラで、少々情けない。
どうせなら、ガツンと裏切り者になって欲しかった気がする。
最後は家族を盾に脅されて、泣きついてたもんね。

かなり硬派なポリティカル・アクション(正確にはポリスではないけど)と、中年男性二人の友情物語は、最後までぐいぐい引き込まれて、あっという間の2時間で楽しかった。
本物に限りなく近いであろうシークレット・サービスの実態とか、エージェントの優秀さとか、感心しかりだったし。
あえてツッコむなら、ピート・ギャリソンが疑われた理由が、ウソ発見器の結果や、その後の調査に引っかかったという以外に、どうもブレキンリッジの個人的な感情が、なんか入っている気がした事かな。
長い事、優秀なエージェントで、大ベテランで、伝説にまでなるような男が、レーガン大統領を救ったのに出世ができないとか、そういう俗っぽい理由で、暗殺計画にのるか、と言われると、否だと思うのだけどね。
ブレキンリッジは、ピート・ギャリソンの事を、信用できない男、というけど、それは自分の妻と寝たと思い込んでいるからで、やっぱり個人的な気がする。

日本には決してない、アメリカのカッコ良さを味わうには、良い作品だよ。
何より、マイケル・ダグラスと、キーファー・サザーランドが、渋くてカッコいいからね。
二人の友情も、スピード感たっぷりのストーリー展開も、犯人を特定する過程もいい感じ。
大人なエンターテイメントだね。これ。
私が見たのは、平日の昼間だったけど、実際、観客の平均年齢、かなり高かったよ。
ラスト、大統領を救ったピート・ギャリソンは、シークレット・サービスを辞める。
もちろん、ファースト・レディとの不倫を、自ら上司に報告してね。
女で身を滅ぼすのは、どこも世界も一緒だね。
同僚に見送られて、円満退職ではあるけど、ちょっと苦笑いなラストだったわ。
でも実際に、シークレット・サービスのエージェントと、ファースト・レデイの不倫て、できるものなのかな?
フィクションだから、どちらでもいいのだけど。
でもちょっと、大統領が、気の毒だわね。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

あくまでヒーローアクションだからさ 【ザ・コマンダー】 [映画日記<2006年>]

「ザ・コマンダー」をレンタル&視聴。

今週は、バンバン撃ち合うような映画が見たくてね。
これも典型的なアメリカ映画だと思うのだけど。

とある国。
新政権の大統領に対し、倒された旧政権の残党がクーデターを起こした。
大統領は米大使館へ助けを求める。
そこへ調度、赴任してきたのが、米大使と親しい、米軍のキーナン中佐(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)。
キーナン中佐は大統領、そして米大使館や米国民を、守りきる事ができるのか・・・

前提として、アメリカ人が作った、アメリカ、特にアメリカ軍賛辞の映画である事。
新政権の大統領が、善人である事。
当然、こういう場合、クーデターを起こした残党は、彼らだってその国の国民であるのに、虫けらのように殺されて当然、の扱い。
リドリー・スコット監督の「ブラック・ホーク ダウン」もそうだったようにね。

それでも、面白かった。
全く情報なしで、期待がなかった分、余計にね。
ストーリー展開が、実によく出来ていると思った。
次から次へと問題が起こったり、徐々に追い詰められているかと思えば、急に大ピンチになったり、一つ上手くいったかと思ったら、実はハメられていて、最悪の展開になったり。
飽きさせないから。

まず、ジャン=クロード・ヴァン・ダム演じる、キーナン中佐。
あまり派手なルックスでなく、それほどオーラを発しているような俳優ではないように見えるけど、
無骨なルックスとか、非常に鍛え上げられた肉体とか、バツグンの判断力、強さ、どれをとっても、まさにミリタリーアクション映画の、主演といった趣き。
実に堂々としていて、自信たっぷりなのが、安心できる。
だから、彼の活躍を、知らず知らずのうちに、期待しているのだよね。

で、問題は身内から。
米軍が駐留している訳ではなく、大使館の関係で軍人がいるのだけど、初めは大使がなかなかの人物で、彼を中心に動いていたのだけど、大統領が米大使館へ避難してきてから、残党の攻撃で大使が亡くなってしまうと、人物関係が、ちょっと複雑になってくるのだな。
キーナン中佐は、大使には信頼されていたけど、手続き上、軍人のトップは違う人物。
さらにFBIの人間がいて、彼はキーナン中佐に対抗心丸出し。
場を仕切りたいキーナン中佐が、手を出せずにいるところは、非常にもどかしい。
それでも好人物よろしく、キーナン中佐が手をこまねいて、FBIに仕切らせたら、脱出を選んだ結果、盗聴されてハメられて、一般の米国民を半数近く失ってしまう。
そこで初めて、脱出に反対していたキーナン中佐にお株が回ってくる訳だ。

クーデターを起こした残党組は、数百人。
米大使館の軍人は、わずか2~30名。
国軍が都市部に戻るまで約4時間。
近くの駐留米軍から、援軍がくるまで、これも約4時間。
それまで持ちこたえられれば、というリミットがあるのが、またドキドキ感が増すね。
ほとんどキーナン中佐の独壇場、本領発揮で、いよいよラストにむけ、厳しい状況の中で、生き残る事ができるか、いい感じの盛り上がり方だと思うよ。
でもって、さすがに国軍の裏切りには、驚いた。
やっと戻ってきた国軍。
これで大統領も、大使館も、やっと無事に生還とか思われたのに、国軍まで裏切っていて、もうボロボロの状態の米軍人は、対抗できる訳がない。
そう思わせたのは、効果的。
ちょっとしつこいかとも思ったけど、その後に、米軍の援軍登場で、さらにカッコ良く見せたかったのね。
米軍ヘリが、そりゃ~カッコ良く見えるさ。でも、やっぱり、ちょっとしつこかったかな。
大統領も、国も、米軍さえ来れば、みな無事、安全、救われる。
最初にも言ったけど、米軍賛辞だし、軍人募集のポスターみたいだし、各国に介入している米軍の正当化を訴えているし、そういう面では、何か邪な訴求が見え隠れしているのだけどね。
でも、単純に、キーナン中佐の活躍を楽しむのであれば、最後まで飽きさせない作りは、なかなかのものだと思うよ。

これも典型的なのだけど、赴任先の国に、すでにジャーナリストとして、キーナン中佐の彼女がいたのには、笑っちゃった。
どこかのニュースで見たように、外国人の記者達が襲われたり、人質になったり、忙しい。
キーナン中佐は、彼女だけは公私混同で、よく守ってあげてるよ。
特別、彼女だけ、そう言われても、あれじゃ否定できないっしょ。
でもヒーローには、女がつきもの。
そういう事だよ。

悪役、この映画の場合は、クーデターを起こした残党の頭になるのだけど。
こういう役に、魅力を持たせるのは、難しいね。
特にアメリカ独特の、勧善懲悪の世界観に、魅力ある悪役ってのは、非常に難しいと思う。
比較的、日本の悪役には、魅力的な人物がなる場合があると思うのは、贔屓目かしら?
小者ではなかったけど、それほどの存在感もなくて、それは残念な事。
米軍賛辞になってしまうのは、こういうところによるのもあるよね。
ま、でも、これは国民性だからなぁ。仕方ない。

もちろん、キーナン中佐の大活躍で、あと米軍の援軍でか、ともかく、クーデターは沈静。
キーナン中佐、カッコ良かったね~、で終わる。
政治的、軍事的、思想的な事は、この際抜きで、そうして見れば、きっと楽しめるよ。
米軍の命令系統のすごさとか、アクションとか、緊迫した感じとか、良かったと思うもんね。
ヒーローアクションとして、見終わった後、すっきり感もあるし。
だから、余計な事は、考えちゃダメ、そういう事だよ。
これは社会派映画じゃない、あくまでアクションヒーロー映画なのだから、いいのいいの。

ザ・コマンダー

ザ・コマンダー

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/07/26
  • メディア: DVD


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画
前の10件 | 次の10件 映画日記<2006年> ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。